第670話 みなと保育園
海まで、200メートルの距離にある。
震災直後、園長や保育士の判断で子供達は屋上に避難し助かった。
園庭まで押し寄せた津波。流されて行く車を目の当たりにして、子供達は保育士にすがりついて泣いていた。
一時は、半分まで減ってしまった園児数。今は、震災前より増えている。
「相馬が好きなので戻ってきました。市役所が発表する放射線の情報も参考にしました。ここで、子供を育てても大丈夫だと確信しました」と20代の母親が言った。
その「みなと保育園」に今日、二枚の絵を寄贈した。
可愛い犬と天に昇る龍の絵。この絵を描いたのは私の知人の女性。9月には横浜と福島市で個展を開いた。
こ の絵の中には、震災前に松川浦で拾った貝殻が散りばめられている。
「松川浦に近い場所に、この絵を飾ってもらえないでしょうか」。そんな彼女の要望に応えて二枚の絵を「みなと保育園」に寄贈した。
喜ぶ園児達の笑顔を見て、疲れも吹き飛んだ。
2013年10月30日 | 相馬市