第490話  高校球児の夏

 

 
甲子園を目指す夏の高校野球福島大会が始まりました。

選手宣誓した南会津高校斎藤主将のメッセージが心にしみました。

「いまこのグランドに立っていられるのは、多くの皆さんのおかげです。中通り、浜通り、会津地方の枠を越えて、私達が一つになって全力でプレーすることが福島の復興につながると信じています」と。

その南会津高校は初戦、古豪・福島商業高校に八回コールド7対0で破れ球場をあとにしましたが、斎藤主将のメッセージは高校野球ファンのみならず、多くの県民の心に残りました。

部員が揃わず、連合チームで挑まざるをえない環境で参加している学校も多いこの大会、選手の口からは「感謝」という言葉が一番多く聞かれました。

第489話  内部被曝通信 福島・浜通りから~帰村しても内部被曝リスクは上がらない――川内村

 

 
内部被曝通信 福島・浜通りから~帰村しても内部被曝リスクは上がらない――川内村

この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。

南相馬市立総合病院
非常勤内科医 

坪倉 正治

ひらた中央病院で行っている川内村民の内部被曝検査の結果( http://www.fukkousien-zaidan.net/research/index.html )が公表されました。

川内村とひらた中央病院は2011年9月に提携して以来、内部被曝検査を無料で全村民に提供しています。

2012年1月31日、遠藤雄幸村長は帰村宣言を発しました。ご存知のように川内村は、避難を強いられた多くの自治体の中でいち早く帰村に向けて動き出した自治体です。帰村宣言以後、ひらた中央病院では川内村のスタッフとともに、被曝量のチェックをすることで、帰村された方々の健康を見守り続けています。

外来では2012年4月以降、問診で帰村しているかを聞きながら、特に帰村している方に、内部被曝を防ぐにはどんな食品に気をつけるべきか、どのような生活上の注意点があるかを重点的にお伝えしてきました。

上記は2012年4月から 2013年3月末までに受診された347名の検査結果です。結果としては、検出限界(300Bq/body)を超える方は3%弱、97%の方が検出限界以下であることが分かりました。多くの方が検出しない状況は、他の福島県で行われている検査結果と大差ありません。

そして、帰村している方と帰村していない方で、Fastscanが検出できるクラスの内部被曝量に差がないことも確認されました。帰村している方、往復している方、未帰村の方の3つのグループの間で、セシウムの検出率に統計的な有意差がないという結果です。ここで帰村している方は、川内村に週4日以上生活されていらっしゃる方、未帰村の方は1日以下の方と定義しています。

セシウムによる内部被曝のほとんどは汚染食品の摂取で起 こります。帰村という行為自体が、それだけで内部被曝を増やさないことは理論的には当然なのですが、今回は、この「検出率に大きな差がない」という結果が、「帰村している方は明らかに地元野菜を摂取している頻度が高いにも関わらず、実現している」ことも分かりました。

帰村後に、汚染食品を多く摂取している状況ではないこと、もう少し踏み込むと、食品検査がしっかりされており、汚染度の高い食品を避けながら生活できていることがうかがえます。

汚染は地元産の食品に満遍なく分布している状況ではありません。明らかに出荷制限のかかるような食品にリスクは集中しており、それを避けることが出来れば、セシウムによる大きな内部被曝は起こりづらい状況です。

もちろん、全 員が検査を受けてくださったわけではありません。いわゆるセレクションバイアスがかかる可能性のあるデータではありますが、少なくとも、「帰村したとしても、(地元産の食品を全く食べないということではなく)明らかな高汚染食品を避けることが出来れば、十分に低いレベルの内部被曝リスクに抑えられた生活をすることが出来る」ことは示されていると思います。理論的には「そりゃそうだ」という話なのですが、それが実際のデータで示されたことは大きいと思います。

川内村には7カ所11台の食品検査器があり、前年度に2655件ほどの検査が行われたそうです。高い汚染が示された食材は、キノコ類や山菜類、獣肉類などで、他の地域の検査結果と変わりません。明らかな汚染のある食品 の種類を基本的な知識として、多くの方が身につけていることが大切なのだと思います。

もちろん、川内村では放射線のことだけが問題な訳ではありません。元々の人口は3000人、完全に帰村されている方が約500人、週に4日以上通っている方を含めると1200人ぐらいで、少しずつ人口は増えているといいます。しかし、八つの行政区のうち一つが帰宅困難地域のままです。除染については、居住空間は一通り終わったそうですが、今後の再除染も含めて議論中だといいます。

遠藤村長は、やれることを一つずつ、愚直に愚直に続けるしかないとおっしゃっていました。川内村のスタッフやひらた中央病院の皆さんの努力に敬意を表したいと思います。

今回の記事は転送歓迎します。そ の際にはMRICの記事である旨ご紹介いただけましたら幸いです。

MRIC by 医療ガバナンス学会

第488話  きょうされん全国大会

 
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郡山市役所に品川市長を訪ね、9月21日(土曜)22日(日曜)に郡山市で開催される「第36回きょうされん全国大会 」のPR と協力のお願いをしてきました。

縁あって私が、実行委員
長を務める事になりました。

「きょうされん全国大会」は郡山市磐梯熱海町で開かれ、全国から障害者1000人を含む、2000人が参加します。

「きょうされん」(旧称:共同作業所全国連絡会)は、全国1900の障害者作業所、事業所が加盟し、障害がある人が安心して地域で暮らし、働ける為の制度づくりや地域・社会づくりに30年取り組んできました。

「東日本・津波・原発大震災」を受け、福島県は甚大な被害を受けました。特に障害を持つ人達の死亡率は通常の2倍といわれているように、自らの命を守る事の難しさを突き付けられた震災でした。

「きょうされん全国」ではその現実を改めて直視しながら、次に起こる災害への備えや防災について話し合い、情報や認識を共有したいと考えています。

福島県は地震、津波、原発事故、風評被害と闘っています。

特に原発事故は廃炉まで40年、気の遠くなるような歳月の先にある復興・復旧を担うのは若者達です。

その若者達が多数、ボランティアとしてこの大会に関わってくれる事に、福島の明るい未来を感じます。

全国各地から温かい支援を受けてきた福島 県が、いまここに感謝の気持ちを込めて全国に元気を発信する事の意義の大きさを改めて実感しています。

そしてこの大会が、障害者の命を災害から守る取り組みを推し進める機会になればと考えています。

添付した写真は、郡山市のマスコット「楽都くん」(郡山市は音楽が盛んなので)

品川市長が持つのは、いわき市薄磯で津波で亡くなった「姫花ちゃんのハンカチ」。

市長は執務室に飾ってくれると話してくれた。

(いわき市出身の品川郡山市長にも、いわき市など津波の被害が大きかった沿岸部を忘れないで欲しいとの思いで、姫花ちゃんのハンカチをお持ちしました)。

第487話  杉内投手の善意

 

 
骨髄バンク活動をしている友人からのメールです。

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本日行われるジャイアンツ×ヤクルトの公式戦。

ジャイアンツの杉内俊哉投手のご厚意で、骨髄バンクから血液疾患の患者さんとそのご家族など8名が観戦させていただきます。

杉内投手は去年から、自腹で骨髄バンクを応援するポスターなどを作り、精力的に骨髄バンクをPRしてくれています。

***僕の野球はファンの皆様、スタッフ、チームメイトに支えられています。微力ですが貴方の命を守りたいのです。
 杉内俊哉

俺は仕事で行けないので、うちのかみさんが観戦します。

第486話  音の出る信号機贈呈式

 
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南相馬市原町区。原町郵便局前交差点。

7月9日(火曜)、県民の皆様からお預かりした募金で、「視覚障害用音の出る信号機を設置し、福島県に寄贈しました。

猛暑の中、県を代表して内堀副知事、南相馬市の桜井市長、県警から青田南相馬警察署長、視覚障がい者福祉協会の阿曽会長ら関係者が出席し、渡り初めを行い、完成を祝いました。

同時に、会津若松市白虎通り短大南前交差点も稼動しました。

これで、ラジオ福島から福島県へ贈呈した音の出る信号機の数は154機となり、県全体の46%がラジオ福島からの寄贈品となりました。

改めて県民の皆様に心から感謝申し上げます。

司会は八木アナウンサーでした。

内堀副知事は「八木ちゃんによろしく!」と私に一言告げて、福島に戻って行きました。

八木ちゃんはその後ちゃっかり、南相馬市の桜井市長とツーショットに収まっていました。

なかなかの、オヤジキラーです。