第41話 聖光学院高校野球部

 
聖光学院高校が、軌跡の逆転勝利で、決勝進出を決めました。

斎藤監督と横山部長は、声を揃えて言いました。

「このチームは、自分達が弱いという事を自覚してから懸命に強くなろうと努力するようになった」

「今年の2年生には特に頑張って欲しい。彼らは震災の時中学3年生だった。原発事故による放射能の不安から、入学を躊躇った生徒もいたはず。保護者からも『絶対に聖光学院高校には行かせない』と電話をもらった。しかし今年の2年生は反対する親を説得し、自らの強い意志で聖光学院高校野球部に入って来てくれた」

「その決断に我々スタッフが命がけで応えなければ彼らに申し訳ない」

自らの弱さを自覚し、チーム力で懸命に闘ってきた聖光学院高校野球部が東北の頂点を目指し、今日午前10時から仙台育英高校と対戦します。

昨日、逆転サヨナラ勝ちをおさめた試合直後、斎藤監督から届いたメールを転送します。

全くの力不足で、選抜など語っては行けないチームだと思っていたので、決勝まで進んだのは不思議な感覚です。

子供達の我慢強い闘いに我ながら感動してしまいました

斎藤

第40話 僕たちの夢

 

関西大学大学院生の藤澤和久さんからのメールを転送します。

書家の川瀬碧水さんと一緒に、郡山市立桜小学校の「書道の出前授業」に参加した感想です。

この日は出前授業の他に、大阪市立堀江小学校から送らた応援メッセージが、桜小学校の児童に手渡されました。

そしてそのお礼に、今度は桜小学校から堀江小学校に「ありがとう!頑張ってます」のメッセージが製作されました。

大和田さん、先日はお世話になりました。

また、早速のメール、ありがとうございます。

桜小学校から堀江小学校へのメッセージに、『七転び八起き』と書いた男の子がいました。

「震災で一度は転んだけど、今は起きて頑張っているよ!って伝えたいんだ」と話してくれました。

また、『思い出より輝いている明日を信じる』と書いた女の子も居ました。

AKB48の歌詞から引用したそうですが、「そうだったら嬉しいし、大阪の小学校のみんなにも伝えたい。できたら、卒業の時に、一緒に歌えたら良いな」って、話してくれました。

郡山の桜小学校と、大阪の堀江小学校。見ず知らずの小学生同士ですが、
お互いを思いやる心が繋がっているように感じてとても嬉しくなりました。

2つの学校を繋いでくれて、本当にありがとうございました。

今後とも、よろしくお願いします。

藤澤 和久

第39話 南相馬市、希望の灯り

 

南相馬市役所前の文化センター(夢はっと)正面に立つ「希望の灯り」。

そこには、こう記されている。

希望の灯り

2011年3月11日、
午後2時46分
東日本大震災。

震災が奪ったもの
命、仕事、団欒、
街並み、思いで

たった1秒先が
予知できない人間の限界。

震災が残してくれたもの
やさしさ、思いやり、絆、仲間。

この灯りは
奪われた
すべてのいのちと
生き残った
わたしたちの思いを
むすびつなぐ。

堀内正美(神戸市)

第38話 郡山シティーマラソンのご報告

 

郡山シティーマラソンが今日秋晴れの下、新装なった開成山陸上競技場をスタートゴールに行われました。

我らがマラソンの佐藤敦之選手は、10マイル(20キロ)に出場し、48分27秒の好タイムで完走しました

48分27秒は1キロ3分2秒のマラソンタイムを意識したベストタイムで、故郷に戻って来てからの佐藤敦之選手のコンディションの良さが伝わってきました。

佐藤敦之選手にゴール直後、電話でお話を伺いました。

「郡山は幼い時に住んでいた所で、特別な思いがありました。
沿道からの声援に胸が熱くなりました。
郡山で走ってくれてありがとうの声に、涙が止まりませんでした。
たくさんの元気と勇気を頂いて走る事ができました」

佐藤敦之選手は、11月25日(日曜)の大阪マラソンで、復活の狼煙をあげます。

その1週間前の11月18日(日曜)の福島駅伝では激走を誓ってくれました。

次に、全盲のマラソンランナーの星純平さん(37)さんからのメールを転送します。

星純平さんは、今日の郡山シティーマラソンの10マイル(16キロ)に参加し、ベストタイムで完走しました。

12月2日(日曜)、南相馬市で行われる「野馬の里ふれあいマラソン」に出場する星純平さんの伴走を佐藤敦之選手が担当します。

大和田さん、お世話になっています。

これから佐藤敦之選手が治療来院されるまで少々時間がありますので、今日の報告を書かせてもらいます。

とりあえず、このような内容でよろしいのでしょうか?

↓以下、ご報告文です

ラジオ福島をお聴きの皆さんへ。

視覚障碍者ランナーの星 純平です。日頃は、ラジオ福島をお聞きの多くの皆様から応援をいただきまして、誠にありがとうございます。

平凡な日々を送りながら普通の市民ランナーと思って走ってきましたので、多方面から応援を頂き、戸惑いながらも幸せ感を持って走っています。

盲人となり閉鎖的な日常から少し解放されたような実感を覚える今日この頃。

自分自身の運命と戦う一つの形として今少し真面目にマラソンと向き合って行きたいと思っています。

今後とも、厳しく温かく見守って頂ければ、幸いです。

今日は「郡山シティーマラソン」(10マイル・16キロ)を走りました。

伴走をしてくださったのは、競技ランナーとしても活躍された、山田 泰弘さんです。

山田 泰弘さんは、私の実力をはるかに越えた、力のあるランナーです。

ですから、おもいっきり走らせていただこう!!と、大会に臨みました。

郡山シティマラソンは初出場でしたが、私のトレーナーの斉藤さんに、「曲がりが少ない走りやすいコース」と聞いていましたので、不安も少なくスタートできました。

目標タイムは64分。

スタートから12キロまでの1キロは4分ペースで走る事ができました。

キロ4分ペースは夢のようでもあり「ここまで来たのか!?」と思いながら残り4キロに挑みました。

伴走者の山田さんからの激励とランナーの皆さんや沿道からの声援をいただき、後半も失速する事無く走りきる事ができました。

ゴールタイムは63分39秒!

10マイルのベストを7分も縮めました。

自分でも、びっくりです。
先月初めに熱血指導をしてくれた佐藤敦之選手のお陰だと、心から感謝しています。

次は、10月21日の「吾妻健康マラソン10キロ」です。

頑張ります

以上報告まで、失礼いたしました。

星純平

第37話 水底の花(みなそこのはな)

 

深堀隆介さんの金魚アートを見てきました。

透明なアクリルに描かれた金魚の絵が、何層にも透明樹脂を流し込むことで、立体感をもって、生きているように迫ってきます。

震災から1年、今年3月11日に作った深堀隆介さんの詩「水底の花」です。

「水底の花」みなそこのはな

あの日、水が全てを持っていってしまった。
家も、人も、思い出も。

今も深い海の底で眠っている尊い命よ。

聞こえますか、私たちの声が、
呼んでいますか、私たちの事を。

あなたたちのことは、
決して忘れない。

私たちの心に
永遠に咲き誇る

水底の花