次世代施設長・管理者研修会 福島で開催
第8期次世代施設長・管理者研修の17名のみなさんが、全国から福島に集まりました。
東日本大震災後、何度も福島で開催された研修会です。昨年はコロナ過、Zoomで「福島の今」を考え合いましたが、今年は福島県郡山市に集まっての三日間の研修でした。
一日目は、原発事故後始まった「保養」事業をとりあげた映画「かくれキ二シタン」を見ながら、今も保養に取り組む関さんの話を聞きました。「保養」とは、放射線量の高いところから離れ、海山での自然体験や様々な活動を通して心身ともに元気になるための活動です。今まで民間の善意に支えられ、福島に留まる子供たちや家族を中心に、毎年一万人以上が全国に出かける機会となってきました。
それが今、バッシングを受けています。「あなたたちが、福島は危険だといって、風評をあおり立てているようなものだ。」と。保養に子供を連れてきたお母さんは、「私は保養にいくとは誰にも言わずに出かけ、戻っても何もなかったかのように過ごしています。」と。話されているそうです。
関さんが研修にこられた人たちに読んだ詩
「2年6ヶ月のふとん干し」 関久雄
お日さまをいっぱいにあびた
ふわふわの布団
干してくれたんだ ありがとう お父さん
いいにおいがする 今夜は気持ちよく 眠れそう
でもなんで外にだしたの 放射能は大丈夫なの
うーん カビくせえのに 耐えきれんでな 風もなくて お天気良くてなぁ
えーい いいや と 外にだしたのさ
2年6ヶ月ぶりに物干しだして ふいてさ 布団干したのさ
それから マスクして 掃除して カビたたたみも 雑巾がけしてな
窓も戸も 玄関も みーんな開けた
風がおもてから裏へ おだやかに抜けてなあ ほんとうに 気持ち よかった
あぐらくんで 風に あたりながら
ふとん干しはお父さんの 仕事だったなあって 思い出したら 涙 出た
今夜の 布団には セシウムが くっついてるかもしんねえな
心配だったら マスクして寝れば 大丈夫 はは これは 冗談
だども やっぱし 出ることも 考えねば なんねえ
こんなこと いつまでも 続けられねえしな
二日目は 避難指示がでなかった郡山市から、通行許可証がなくとも通れるようになった国道288号線を、避難指示が解除になったところ、未だ避難指示がでている帰還困難地域や特定復興再生拠点地域を通り、「双葉駅前」「東日本大震災・原子力災害伝承館」「震災遺構請戸小学校」を見ながら、ふれあいセンターなみえにオープンした「なみえのコーヒータイム」でお昼を食べながら皆さんの話を聞いてきました。
○二本松のコーヒータイムに通っていた志賀さんが、故郷浪江の復興住宅に戻って、理事長の橋本さんと二人でやっているのかと思ったら、浪江に戻った志賀さんを含めた4人の仲間と地元に戻られた橋本さん、小泉さん、高井さんの3人のスタッフさんが元気に明るくお店を切り盛りしていました。
○このお店は、ふれあいセンターにこられるデイサービスのお年寄りや社協の職員さん、浪江に戻ってこられたみなさん方が、のんびりと集う場所になっているとのこと。町の人たちと、色々な企画を立てていらっしゃいました。
○浪江に戻られたみなさんと、避難先での生活を決めたみなさんには、それぞれの思いがあるとのことでしたが、戻られたみなさんと避難先で暮らすみなさんとの「かけはし」になれたらと、話されていました。
○「原子力災害伝承館どうでしたか」との問いかけが見学されたみなさんへありました。原子力災害伝承館への様々な意見。聞きなれない産業や立派な建物が人の気配のない町に立ち始めるなか、あの出来事から得た教訓を、一人一人の思いに向き合いながら考え進んでいくことが求められているように思いました。
帰りは、国道114号線を、帰還困難区域浪江町津島を通り二本松から郡山に戻りました。コロナ過での福島での研修だったこともあり、なみえのコーヒータイムのみの訪問でしたが、コーヒータイムのみなさんの笑顔と未だ戻れない11年前から時が止まったかのような街を目にし、思い感じたことを、身近なみなさんにぜひ聞かせてあげて欲しいと思います。三日間の研修、お疲れ様でした。