みんなの力を集めて一歩一歩前に進んでいこう
南相馬市の利用者実態調査や障害福祉サービス利用者実態調査の結果を改めて、見つめたとき、この現状を多くの関係者と共有し、関係するみんなの力を集めて、一歩でも前に進んで行けたらと、南相馬の会員事業所が10月13日南相馬市に「南相馬に暮らす障がいのある人たちの安心で安全なそして豊かな暮らしを-南相馬の未来をつくる要望書」を提出、現状の共有のために、南相馬市との懇談会を10月26日開きました。
南相馬の未来をつくる要望書:こちら
検討チームの中心になって今回の要望、懇談を進めてきたぴーなっつ郡さんから報告をいただきました。
デイさぽーとぴーなっつ 郡信子
きょうされん加盟の日中事業所の連名(福島支部のお名前も頂きました)で、10月13日に南相馬市長宛に「要望書」を提出いたしました。当日は、副市長に対応いただき、福祉計画に入れる、改善の必要なところはすぐ手掛けるとの力強い言葉を頂きました。
東日本大震災後、JDF、きょうされんの方々に物資支援から始まり、現場支援、職員定着・育成のための職種ごとの勉強会等ご支援を頂きながら、職員一人ひとりが今ある南相馬市の現実に向き合ってきました。困難や課題、悩みを持ちつつなかまの方々に接していく中で、「利用者実態調査」を主体的に行い、厳しい現実を知るとともに、「こうだったらいいのに!!」という願いや希望もささやかれるようになってきました。「利用者実態調査」「職員実態調査」で全国との違いも知り、保護者懇談等での家族の厳しい状況も知る中で、益々このままではいけないのではないかという疑問も生まれました。
「きょうされん南相馬支援チーム」ときょうされん福島支部の的確なご指導のもと、「南相馬市に暮らす、障害のある人たちの安心で安全なそして豊かなくらしを~南相馬市の未来をつくる要望書~」としてきょうされん加盟日中事業所の全部の連名で提出できたことには大きな意義があったと思っています。
その後、市との懇談会も持つことができました。障害福祉課課長、各区係長等5名の役所の方が参加され、なかま、保護者、事業所職員、きょうされん南相馬支援チーム、きょうされん福島支部の設楽さん、和田さんにも参加いただき(34名参加)、90分という限られた時間でしたが、要望書中心に意見交換が活発に行われ、行政職員の方々もしっかりと受け答えをしてくださいました。事業所が連携してこのような場がもて、多くの方々が「有意義だった」「話を聞いてもらえた」「継続しながら、思いが実現していければいい」「みんなで南相馬市を良くしていきたい」というような熱い感想を頂きました。行政の方からも、要望書に関して文書で回答していくという明白な言葉もいただきました。
一個人、一事業所、一法人では届かない声や思いも、一つの事、障がいのある人を中心とした地域生活、格差のない当たり前の豊かな生活をめざすという目標に向かって共に考え行動していく道ができたように思いました。この道を皆で広げ整備していけたらと思っています。
「要望書提出」「行政との懇談会」と未経験の事を市内の関係者でできたのもきょうされん南相馬支援チーム、そして、福島支部のお力添えがあったからこそと思います。感謝申し上げます。
南相馬を支え続けてきた支援チームの古賀さんからも報告をいただきました。一部抜粋して載せさせていただきます。
南相馬事業所ニュース『未来(創刊号』:こちら
かしはらホーム 古賀知夫
前略
特に、仲間からが発言したことの重みは熱いものがありました。
震災支援から6年半がたち、震災直後は、事業所の立ち上げや職員不足への緊急的対応、まったく福祉経験のない中高年層を中心とした話し合いやゆったりとした研修会、次の世代を担う次世代の主任さんたちの懇談会をゆっくりゆくりと積み重ねてきました。
まったく、運動の積み重ねがなく、入所施設を抱える大きな法人が影響力を持っていた地域で、仲間自身が発言し、仲間・家族・職員がいっしょに要望し、事業所間の枠を超えて行政にきちんと向き合える時間と空間を持てたことは、感慨深いものがあります。また地元の当事者・家族・職員たちの新たな可能性を感じ取れる時間でもありました。ただ、これは、本当に入り口のところです。線が細い物でもあります。これをきちんと繰り返していくことが大切です。中略
なかなか目に見えた成果がわかりづらい中で、自分たちが支援に入る意味を繰り返し、繰り返し問うてきた期間でした。でも、大震災からの立ち直りというよりは、原発事故で崩壊した街をもどすことは無理でも、今より明日が少しでもよくなるようにと歩んでいるこの地域で、将来につながる道を作っていける確実な力は、運動の力だと思います。
今少しだけ芽生え始めたこの地での運動の芽が、間違いなく将来につながるものになっていくためには、多分、5年10年の長いスパンで、ゆっくりじっくりと焦らずに、あくまで地元の芽に依拠して、地元のペースを崩さずにかかわっていく支援が必要になっていくと思います。
その時にひとつだけ留意するならば、支援に入る側の根っこのところでの同じ思いと支え合いに対する確信が、最も重要です。
なぜなら、未だ経験したことのない原発事故に向き合うためには、支援していくことに真摯に向き合う姿勢と絶えない笑い声が不可欠です。それが6年半支援活動をこのチームで続けてきた教訓です。
後略
ふくしまは真摯な気持ちと笑い声を忘れずに進みたいと思っています。
今日より明日が、少しでもよくなっているように思いを寄せながら。
和田 庄司
利用者実態調査:こちら
障害福祉サービス利用者実態調査:こちら