第580話  内部被曝通信 福島・浜通りから~「高齢化」を取り巻く問題が突然顕在化した

 

 
内部被曝通信 福島・浜通りから~「高齢化」を取り巻く問題が突然顕在化した

この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。

南相馬市立総合病院
非常勤内科医
坪倉正治

2013年9月17日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 

南相馬市立総合病院は震災前、14人の常勤の医師がいました。震災後その数は4人まで減りましたが、現在は21人まで回復しています。医師の数だけで言うなれば、震災前よりも増えています。今年より研修医の受け入れも始まり、福島県立医大をはじめとして多くの場所から赴任していらっしゃいます。

しかしながら、230床、4病棟ある内の3病棟しかオープンはしていません。一つには看護師さん不足があるからです。

医療は医師だけでは全く成り立ちません。もちろん、医師がいなければ、それはそれで困りますが、看護師さん、リハビリさん、薬剤師さん、ソーシャルワーカーさん、事務スタッフの方々など多くの方の力を結集しなければ実現しません。特にご高齢 の方に対する医療は、その傾向が強くなります。

今回の震災後、「急速」な「高齢化」をキーワードにして、病院が担当する部分が増えました。「放射線による何か特有の「病気」が増え……」といったことを言われることがありますが、それは実態と明らかに乖離しています。

では、いわゆる血圧、糖尿病、コレステロールなどの慢性疾患が明らかに増えているとお考えでしょうか。これは、私の個人的な印象ですが、通院している方々で、上記の慢性疾患が悪化し続けているとは感じていません。

震災後、一時的に悪化されてはいましたが、その後、外来ではやや持ち直した方が多いように思います。もしかしたら、使用薬剤はやや増えたがコントロールはできている、という方は増えたのかも しれませんし、病院に通っていない方は、その限りでは無いかもしれません。

しかしながら、明らかに「予備能力」は落ちているように思います。(参照:第35回「日本の未来を浜通りに見る」http://apital.asahi.com/article/fukushima/2012111500086.html

上記で紹介した内容ともかぶりますが、震災前なら入院の必要が無かったのに、(若い家族が少し減り)家族構成が変わって介護力が低下したため。住んでいた場所が変わり、より生活が不便になったため。仮設住宅の共同生活では周囲に迷惑をかけてしまうため。自分を取り巻く社会状況が変化したため。何かが起こったときに、耐えられず、すぐに医療が必要となる傾向は強くなっているように思います。

介護力の低下という言葉だけで説明はつくのでしょうか。家族の、そして地域の介護力はニーズにマッチしていない状況が続いています。大きく言えば「高齢化」したため、と言えるのかもしれません。そして、それが「急速」に起こりました。

そのため、システムのあちこちに急激に軋 みが生じています。もしかしたらこの変化が緩徐であれば、色々な場所に負担や業務がゆっくり分散され、表向き問題は明らかでは無かったのかもしれません。現場はスタッフが、現在の人員でどのように業務を回すか、最適化を図っています。

もちろん、放射線の問題が何も無い訳では決してありません。ただ起こっていることは、この場所特有の問題では無く、日本の医療状況に普遍的な、ただし今後解決しなければならない非常に大きな「高齢化」に対する問題です。

高齢化、医療者不足、こういった問題は、今回初めて明るみになった話では全くありません。日本全国どこでも問題となり、医療者であれば必ずぶつかる話です。もとから相双地区(主に福島県の浜通り北部)に医療者は多くありま せん。解決策は何か? 一言で見つかるならば、だれも苦労しません。

医療者に死にものぐるいでは働け、といっても残念ながら医療もそんなに「予備能力」はありません。ただ予算が付いて、何かしらの箱物ができて、としても解決できません。

もう一歩踏み込んで、現在の様々な検査や検診に関しても同じことを感じます。甲状腺や、内部被曝検診、xxの病気がxx人、xx Bq、xx検診を追加せよとなるのもわかるのですが、どうやってそれを続けるかもみんなで考えなければ、本当にこのままでは立ちゆかなくなります。それは医療者が考えるべきなのか? 「しょうがない」とかいわれてしまうのかもしれませんが、ここをどうするのか、建設的で現実的な議論をして、ノウハウを貯めていくのか。対立している暇も余裕もありません。みんなで進みたいと思います。

写真:南相馬市立総合病院の原澤先生と荻上チキさんの番組の収録中の一コマ。

原澤先生は、震災後2011年11月から仮設住宅に通い続け、予防接種事業や、在宅診療部の立ち上げなど、尽力されています。

http://apital.asahi.com/article/fukushima/2013090900004.html

MRIC by 医療ガバナンス学会

第579話  風評被害って何?

 
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東京大学医科学研究所の上昌広先生からのメールです。

「風評被害って何?」

御報告申し上げます。

滋賀医大の4年生の細尾真奈美さんが、相馬を訪問し、調べた内容です。彼女は京都の西陣の着物屋さんのお嬢さんです。

先日は相馬高校で西陣について講演をしました。

西陣が何度も苦難を乗り越えてきた事を話したそうです。

だから福島も頑張ろうと。

★☆★☆
滋賀医大4年生の細尾真奈美さんには、21日(土曜日)午前9日30分間からインタビューします。

細尾さんが、被災地を回って感じた事、伝えたい事をお話ししてもらいます。

楽しみです。

第578話  ハンサムウーマン

 
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9月14日(土曜日)の地元紙上の「ハンサムウーマン」(福島県の企画)に、福島県立小名浜高校フラガールチームのリーダー・草野七海さん(高校2年生)が掲載されました。

草野さんはフラガールに憧れ、高校入学後は迷わずフラガール部に入部、昨年はフラガールズ甲子園にも出場、チームは優秀な成績を修めましたが、この3月で3年生が卒業、メンバーは草野さん一人になってしまいました。夏のフラガールズ甲子園に出場するには、最低3人は必要です。

先輩が残してくれたフラガールを終わらせたくない!

草野さんは友達や後輩に声をかけて回り、メンバーを集めました。

3ヶ月後、メンバーは3人になりました。

2ヶ月の特訓の末、参加したフラガールズ甲子園。結果は努力賞に終わりましたが、草野さんの目には涙が光り、何かをやり遂げた満足感にあふれていました。

「フラで、小名浜をいわきを福島を元気にしたい」夢 に向かって頑張る草野さんの挑戦は続きます。

草野さん達小名浜高校フラガールズは、9月21日(土曜日)に磐梯熱海で行われる「きょうされん全国大会」のステージに立ち2千人の前で踊ることなっています。

第577話  台風

 

 
台風による被害が各地で出ています。

皆さんの所は大丈夫ですか?

福島県は通過地点になりそうです。お互いに十分気を付けていきましょう。
友人からのメールを転送します。

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おはようございます。
今、滋賀県から福井県に入るところを走っていますが、今回の台風は、雨が凄まじいです。

今まで経験したことのないものです。台風が遠くても北側は酷いです。

じゅうぶん気をつけてください!

第576話  安倍総理へ

 
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私の番組に連日、政治家に対して、厳しい意見が届きます。

オリンピックの招致に関しては概ね認めてはいるものの、安倍総理のプレゼンテーションの中
での「原発はコントロールされている」「汚染水はブロックされている」「健康被害は無い」等の発言には強い不快感がみられます。

中には、安倍総理の「原発はコントロールされている」発言は、誰かにコントロールされて言わされているのではないか、コントロールされているのは総理自身だというものもありました。

救われたのは、安倍総理をはじめ国会や政治家にもっと頑張って欲しいというエールもあった事です。

批判を時には、「叱咤激励」に変えて、さあ、政治家の皆さんには被災地復興の為にもっと働いてもらいましょう!