南相馬市

第67話 星純平さんからのメール

 

全盲のマラソンランナーの星純平さんからのメールを転送します。

星純平さんは今日、10キロでベストタイムを出しました。

走る度に記録を更新する星さんに、頑張る事の素晴らしさを教えてもらっています。

12月2日(日曜日)には、マラソンの佐藤敦之選手の伴走で、南相馬市主催のハーフマラソンに出場します。

ご声援下さい。

 視覚障がい者ランナーの星純平です。

日頃は、ラジオ福島をお聞きの多くの皆様から応援をいただきまして、誠にありがとうございます。

視覚障害者として閉鎖的な日々を送る中で、多くの方々のご支援を頂き、マラソンと言う世界を楽しんでいます。

ただの一、市民視覚障害者ランナーと思って走ってきましたが、ラジオ福島の大和田さんとの出会いにより、ラジオ番組にて熱意を持って取り上げて頂き、その影響もあり多くの方々から応援をしてもらうことになり、心から感謝しています。

その反面、戸惑いもありますが、光を失い、気持ちを閉ざす日常から少し
解放されたような喜びを実感する今日この頃です。

自分自身の運命と戦う一つの形として今、マラソンと向き合ってゆきたいと思っています。

今後とも、温かいご声を宜しくお願い致します。

 今日(10月21日)は、震災復興支援 吾妻健康マラソン(10キロメートル)に参加してきました。

伴走をしてくださったのは、武藤 悦夫(52)さんです。

武藤さんは、青東駅伝に出場し、区間賞を取ったり、福島駅伝を15回出場。

その後、福島駅伝の二本松市の監督を務めた実力と実績を兼ね備えたスーパーランナーです。

武藤さんは視覚障害者の伴走は初めてでした。

しかし嬉しいことに、今回の大会前に伴走の為の試走までして下さいました。

そして、「まずは怪我をさせないように伴走させていただきます」とおっしゃいました。

その優しいお気遣いをいただきまして、気持ちよくスタート出来ました。

目標タイムは38分でした。

アップダウンの厳しいコースでしたが、武藤さんの丁寧なガイドと励ましのおかげで、ゴールを目指しました。

ラスト1キロが、ひじょうに苦しかったのですが、沿道からも温かい応援をいただき、ゴールできました。

完走タイム:39分12秒は、10キロでの自己ベストです!

本大会も、伴走をして下さいました武藤さんをはじめ、多くの方々のご支援により、走らせていただきました事、心より感謝申し上げます。

引き続きのご支援ご声援をよろしくお願いいたします。

平成24年10月21日(日曜)午後8時15分

星 純平

第60話 サイレント

 

南相馬市原町区萱浜(かいはま)。津波で138人が亡くなった。

全盲で福島県盲人協会会長の阿曽幸夫さんが、津波に流された家の基礎に立ち、耳を澄ます。

「音がない。生活音が全くしない」

この場所から800メートル東が大平洋。遮るものは何一つない。
阿曽さんの頬を浜風が打つ。

「風が直接顔にあたる。何かにぶつかってあたる風とは全く違う。本当に、何もなくなってしまったのかがよく分かる。ここには、東西南北も季節もない」と。

第58話 高橋亨平先生

 

★大腸がんを患いながら、南相馬市で放射線と向き合い、診療を続ける原町中央産婦人科の高橋亨平(りょうへい)先生にお話を伺いました。

高橋先生は9月上旬まで毎日、南相馬市から1時間20分かけて、県立医科大学放射線治療科へ通っていました。

「何の為に、こんな苦しみに耐える必要があるのか」と、ふと思う時がりました。

そんな時、高橋先生は思いました。

「この地域に生まれてくる子供達は、賢く生きるならば絶対に安全であり、危険だと大騒ぎしている馬鹿者どもから守ってやらなければならない」

原発事故後、分娩できる施設が無かった南相馬市も、南相馬市立総合病院
の産婦人科などがこの4月から分娩を開始しました。

高橋先生は、自分の役割は終わったと思いました。

しかし、自分を頼って来てくれる患者さんを断ることはできません。

先生は自らの命を削りながら、毎日診療を続けています。

『使命感のもとに』

★高橋先生は全国のdoctorにブログで呼びかけています。

「こんな診療所ですが、勤務していただける勇気あるdoctorを募集します。婦人科、内科、消化器科、循環器科、総合診療科、何科でも結構です」

「ガンと闘って、頑張ってきましたが、甘くは無いなと感じています。何時まで生きられるかわかりません」

「覚悟は決めていても、苦しみが増すたびに、もし、後継者がいてくれればと願ってやみません。私の最後のお願いです。どうか宜しくお願いします」と。

震災から一歩も逃げずに、南相馬市の医療を支え、住民の心のよりどころとなってきた高橋亨平先生の『命の叫び』が、どうか届きますようにと、願わずにはいられません。

高橋亨平先生の行動や言葉には、魂が宿っています。

政治家の「政治生命をかける」という言葉がなんと陳腐なことか!

第39話 南相馬市、希望の灯り

 

南相馬市役所前の文化センター(夢はっと)正面に立つ「希望の灯り」。

そこには、こう記されている。

希望の灯り

2011年3月11日、
午後2時46分
東日本大震災。

震災が奪ったもの
命、仕事、団欒、
街並み、思いで

たった1秒先が
予知できない人間の限界。

震災が残してくれたもの
やさしさ、思いやり、絆、仲間。

この灯りは
奪われた
すべてのいのちと
生き残った
わたしたちの思いを
むすびつなぐ。

堀内正美(神戸市)

第38話 郡山シティーマラソンのご報告

 

郡山シティーマラソンが今日秋晴れの下、新装なった開成山陸上競技場をスタートゴールに行われました。

我らがマラソンの佐藤敦之選手は、10マイル(20キロ)に出場し、48分27秒の好タイムで完走しました

48分27秒は1キロ3分2秒のマラソンタイムを意識したベストタイムで、故郷に戻って来てからの佐藤敦之選手のコンディションの良さが伝わってきました。

佐藤敦之選手にゴール直後、電話でお話を伺いました。

「郡山は幼い時に住んでいた所で、特別な思いがありました。
沿道からの声援に胸が熱くなりました。
郡山で走ってくれてありがとうの声に、涙が止まりませんでした。
たくさんの元気と勇気を頂いて走る事ができました」

佐藤敦之選手は、11月25日(日曜)の大阪マラソンで、復活の狼煙をあげます。

その1週間前の11月18日(日曜)の福島駅伝では激走を誓ってくれました。

次に、全盲のマラソンランナーの星純平さん(37)さんからのメールを転送します。

星純平さんは、今日の郡山シティーマラソンの10マイル(16キロ)に参加し、ベストタイムで完走しました。

12月2日(日曜)、南相馬市で行われる「野馬の里ふれあいマラソン」に出場する星純平さんの伴走を佐藤敦之選手が担当します。

大和田さん、お世話になっています。

これから佐藤敦之選手が治療来院されるまで少々時間がありますので、今日の報告を書かせてもらいます。

とりあえず、このような内容でよろしいのでしょうか?

↓以下、ご報告文です

ラジオ福島をお聴きの皆さんへ。

視覚障碍者ランナーの星 純平です。日頃は、ラジオ福島をお聞きの多くの皆様から応援をいただきまして、誠にありがとうございます。

平凡な日々を送りながら普通の市民ランナーと思って走ってきましたので、多方面から応援を頂き、戸惑いながらも幸せ感を持って走っています。

盲人となり閉鎖的な日常から少し解放されたような実感を覚える今日この頃。

自分自身の運命と戦う一つの形として今少し真面目にマラソンと向き合って行きたいと思っています。

今後とも、厳しく温かく見守って頂ければ、幸いです。

今日は「郡山シティーマラソン」(10マイル・16キロ)を走りました。

伴走をしてくださったのは、競技ランナーとしても活躍された、山田 泰弘さんです。

山田 泰弘さんは、私の実力をはるかに越えた、力のあるランナーです。

ですから、おもいっきり走らせていただこう!!と、大会に臨みました。

郡山シティマラソンは初出場でしたが、私のトレーナーの斉藤さんに、「曲がりが少ない走りやすいコース」と聞いていましたので、不安も少なくスタートできました。

目標タイムは64分。

スタートから12キロまでの1キロは4分ペースで走る事ができました。

キロ4分ペースは夢のようでもあり「ここまで来たのか!?」と思いながら残り4キロに挑みました。

伴走者の山田さんからの激励とランナーの皆さんや沿道からの声援をいただき、後半も失速する事無く走りきる事ができました。

ゴールタイムは63分39秒!

10マイルのベストを7分も縮めました。

自分でも、びっくりです。
先月初めに熱血指導をしてくれた佐藤敦之選手のお陰だと、心から感謝しています。

次は、10月21日の「吾妻健康マラソン10キロ」です。

頑張ります

以上報告まで、失礼いたしました。

星純平