第585話  感動の大合唱

 
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障害者の祭典「きょうされん全国大会」が、21日(土曜日)・22日(日曜日)の両日、福島県郡山市磐梯熱海町の「ユラックス熱海」を会場に行われた。障害者を含め全国から2千人を越える参加者が集った。

縁があって、私が実行委員長を務めさせてもらった。

開会式では、佐藤雄平福島県知事と品川萬里郡山市長が、復興への意気込みと歓迎の言葉を述べた。

基調講演の後、私が、「福島からのメッセージ~鎮魂から復興へ」と題し、2時間30分のステージを担当した。

私にはどうしても伝えたい事があった。

それは、福島県の復興・復旧を担う高校生を始めとする若者達の前向きな姿だ。不自由な生活を乗り越え、元気に明るく頑張る彼らの姿こ そ、福島の未来そのものだからだ。全国の参加者には、福島の若者のとびっきりの笑顔とパワーを持ち帰って欲しいと願っている。

「福島からのメッセージ~鎮魂から復興へ」

オープニングは、県立いわき海星高校有志による「じゃんがら念仏踊り」。

県内で唯一津波の被害を受けたいわき海星高校は、生徒2人が犠牲になった。

仲間への鎮魂と、この震災で亡くなった全て人の供養の為に彼らは踊った。

「チームじゃんがら」のリーダー高橋純香さんがが言った。「私達はこれまでに多くの人達に支えられてきました。今度は私達が笑顔と元気で支える番です」と。

会場は大きな拍手に包まれた。

次に、障害者がこの東日本大震災とどう向きあってきたかをテーマに話を聞 いた。

ステージには、いわき市の主婦・志賀とし枝さんと、仙台市のマッサージ師・早坂洋子さんが上がった。

志賀さんは白血病から骨髄移植を受けている。歩くのが不自由で、杖を使用している。宮城県気仙沼出身で、最愛の両親と義理の姉の3人を津波で亡くした。
原発事故の影響で避難を強いられたが、当時ガソリンが無く父の火葬に立ち会えなかった悲しみを語ってくれた。

自分を支えてくれたのは全国の骨髄バンクの仲間と家族の笑顔。里親として育てている息子の存在が、生きる力になっていると結んだ。

早坂洋子さんは、弱視難聴の盲ろう者。震災の時は仙台駅にいた。たまたま手話介護者と一緒だったので、自宅まで送ってもらえた。2時間歩いて。情報が無く、沿岸部に 津波が来たのを知ったのは、震災の翌日になってからだった。

早坂洋子さんは震災と向きあった障害者の記録映画「生命(いのち)のことづけ」」のナビゲーター(進行役)を務めた。

早坂さんは「今回の震災で明らかになった障害者を取り巻く問題は以前から指摘されていた。日頃から様々な繋がりがあれば、救えた命もあったはず」と振り返った。

10分間の休憩を挟んで「鎮魂から復興へ」と場面は転換した。

幕が上がるとそこには、津波で被災して復活した 豊間中のピアノがあった。

このピアノをこよなく愛し、その復活の奇跡のドラマに寄り添ってきた沖縄島出身のシンガー・普天間かおりさんが「奇跡のピアノ」で7曲を歌い上げた。

アンコールではkiroroのヒット曲「未来へ」を会場と一緒になって合唱した。

この時ステージには、奇跡のピアノと普天間さんを囲むように参加者が集まった。いわき海星高校の「チームじゃんがら」、車イスの障害者、それをサポートするボランティア等、80人を越える人達がステージに上がった。大合唱となった。

会場とステージが一つになった瞬間だった。

感動のステージに、普天間さんも関係者も声を詰まらせた。

何時までも鳴り止まない 拍手の嵐の中で、普天間さんはピアノにそっと手を触れて頭を下げた。

復興のステージ最後は、福島県立小名浜高校フラガールズチームによる華麗なフラダンス。

メンバーは3人と少ないが、広いステージをいっぱいに使っての華麗でダイナミックな演技は2千人の観客の目をくぎ付けにした。

小名浜高校フラガールズは、「フラガールズ甲子園」で2年連続優秀賞を受賞。しかしこの春、3年生の卒業と同時にメンバーは1人だけとなった。「このままではフラガールズ甲子園には出場できない」。(フラガールズ甲子園は3人以上が出場条件)。
1人残った草野七海(なつみ)さん2年生は、先輩の築いたフラの精神(お世話になった地域をフラで笑顔にする)を絶やさない為に東奔西走、 毎日のように同級生や後輩にフラの魅力を説いて回った。

草野さんの熱意に、後輩2人が応えくれた。フラガールズ甲子園まで2ヶ月を切っていた。

地元いわき市で開催された今年のフラガールズ甲子園で小名浜高校フラガールズは努力賞にとどまった。しかし、草野さんの目には涙はなかった。その表情は、仲間と踊り終えた充実感と、未来への夢と希望に満ち溢れていた。

フィナーレを飾った小名浜高校フラガールズの3人に手拍子と惜しみ無い
拍手が送られた。

3人を指導し、模範演技を見せてくれた元フラガールの横山寛子さんは「今日の3人の演技は完璧でした。ステージに立ち、踊る度に彼女達は成長していきます。笑顔こそフラガールの原点です。いい笑顔でしたね」と目を 細めて語ってくれた。

原発廃炉まで40年、気の遠くなるような歳月の先にある福島県の復興・復旧を担うのは間違いなく若者達。

高校生に見捨てられたら福島県は終わりだ。

政治家や行政は分かっているのだろうか。

写真は、①奇跡のピアノを使った普天間かおりさんのステージ。

②kiroro の「未来へ」をステージで熱唱する参加者。

③主役の一人、豊間中の「奇跡のピアノ」

9月23日(月曜日)の夜7時からの2時間の生放送「月曜Monday ( もんだい)夜はこれから」は、前半の1時間で「きょうされん全国大会」の模様を振り返ってお送りする。

後半の1時間は、風の噂ではゲストにあのave(エイブ)が出演するらしい。

それは、聴かなきゃ!