第482話  歌の力を信じて

 
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私の番組で、トトロの挿入歌「散歩」をお母さんと熱唱した、綾野ちゃん小学校4年生。

震災後、福島市から仙台市に家族で避難した。

避難先の小学校に初めて登校した綾野ちゃんは、ドキドキする気持ちを押さえて言った。

「私の得意な事は、歌を歌う事です。一曲歌います」と大きな声で挨拶し、童謡「たき火」を歌った。

綾野ちゃんの澄んだ歌声が、教室いっぱいに響いた。

綾野ちゃんは福島県童謡歌唱コンクールで、最優秀を受賞した経歴を持つ歌姫だ。

綾野ちゃん歌が終わると一瞬静寂が教室を支配した。

「ありがとうございました」と綾野ちゃんが頭を下げた瞬間、割れるような拍手が教室を包んだ。

「スゲエ!」「上手すぎ!」

その日下校する 綾野ちゃんは「友達になろうよ」と声をかけてくれた同級生に囲まれていた。

自宅前で、綾野ちゃんの帰宅を待っていたお母さんの心配は、取り越し苦労で終わった。

クラスメイトと一緒に笑いながら帰ってきた綾野ちゃんを見て、お母さんは涙が止まらなかった。