第34話 泰勝久さんとキクボウタイムス

 

郡山市喜久田町商工会の新聞「キクボウ・タイムス」は、今年創刊10周年を迎えた。

編集長は鍼灸院を営む秦勝久さん(63歳)。
秦さんは先天性の病気から弱視で、現在はほとんど見えない。

年15回発行している「キクボウタイムス」の取材は、編集長の秦さんと手引きをしてくれる支援者(運転と写真撮影)の二人で担当。

取材から帰ると、秦さんの記事の口述筆記と写真の整理を、鍼灸院の職員がボランティアで協力してくれる。

新聞の発行部数は4000部を超え、取材や記事掲載の依頼(郡山市や大手スーパーなど)も多く、取捨選択が一番難しいという。

これまでは、喜久田町のイベントやお祭り・学校の情報など地域の話題が中心だった。

しかし最近は、除染に関するアドバイスや講演会などの情報をはじめ、浜通りから避難している住民との交流会の案内など
を積極的に取り上げている。

秦さんにこれからの夢を聞いた。

秦さんは、「地域新聞全国大会 を喜久田町で開き、福島県の現状を全国に発信したい」と話してくれた。

見えないからこそ、見えるものがある。
心の目を開きなさい

そう秦さんから学んだ思いがする。