第179話 硫黄島からの手紙

 
梯久美子著「散るぞ悲しき」を読みました。
 

硫黄島総指揮官・栗林忠道中将を描いたもので、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しています。

この本を推薦してくれたのは、相馬市の立谷秀清市長です。

立谷市長は震災直後、市長室の床に敷いたカーペットの上に横になりながら朝を迎えていました。

その時に何故か栗林中将を思いだし、「我に知恵と勇気を与えたまえ」と願ったそうです。

アメリカの名優、クリント・イーストウッド監督の映画「硫黄島からの手紙」を見て、栗林中将の存在は軍神として知っていまし たが、これまでの知識を根底から覆された衝撃的な内容でした。

また、栗林中将戦死後の奥様の生き方、振る舞い方にも感動しました。

背表紙解説文には、こう記されています。
「水涸れ弾尽き、地獄と化した本土防衛の最前線・硫黄島。司令官栗林忠道中将は、5日で陥落するというアメリカ軍の予想を大幅に覆し、36日間持ちこたえた。日米合わせて2万人以上の死者を出した壮絶な戦場だった。玉砕を禁じ、自らも名誉ある自決を選ばず、部下達と敵陣に突撃し果てた彼の姿を、妻や子に宛てて書いた41通の手紙を通して描く感涙の記録。

栗林中将の孫が、進藤義孝総務大臣です。大臣は今月26日に、二本松、南相馬を回って相馬市に入る予定です。

立谷市長は「目的意識を信 念に替えて、命より大切なものを守るために、死ぬより辛い戦いを貫いた栗林中将への尊敬と感謝の気持ちを込めて、孫である大臣をお迎えします」と話してくれました。

大臣と立谷市長が握手をした瞬間を思うと、熱いものが込み上げてきます。

栗林中将の決別電報の後に送った辞世の句です。

「国の為重きつとめを果たし得で、矢弾尽き果て散るぞ悲しき」