第610話 伊江島からのお客様

 
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沖縄県伊江島から、震災後の福島の現状を知りたいと、伊江村役場の皆さんが、ラジオ福島のスタジオを訪れました。

一行は、島袋村長他10名で、ラジオ福島の本多社長と懇談したあと、私が福島県の現状を%1時間に渡って、説明させてもらいました。

伊江島は、沖縄本島から近く「美ら海水族館」から、正面に見える島です。

人口は5千人。沖縄戦では、島民も含め3千5百人が犠牲になった激戦地です。

住民の「集団自決」や日本軍によってスパイ視された住民の「処刑」など、悲惨さを極めました。

伊江島の戦中・戦後の歴史は、1943年の日本軍飛行場建設時の住民徴用から始まり、激しい戦闘、戦後の強制住民移動、米軍の強制土地接収、基地被害などまさに「沖縄戦の縮図」と言われています。

その伊江村では震災後、夏休みを利用して福島県の子供達を 多数、12泊の長期に渡って受け入れてきました。

3年目の今年も、これまで通り、福島県の子供達を受け入れ、地元の子供達との交流を行いました。

その中で、役場の職員が言いました。「この子供達の故郷・福島県を直に見て、これから伊江村がどのような支援が出来るかを、真剣に考えたい」と。

そして実現したのが、今回の福島訪問でした。

震災から2年6ヶ月を1時間で語り尽くすのは無理でしたが、伊江村の皆さんは、メモを取りながら時には涙を流しながら私の話を聞いて下さいました。

私の講演後、多くの質問が出されました。

「原発はいつ収束するのか」「本当原発は、コントロールされているのか」「仮設住宅での生活はどのようなものなのか」「子供達を福島県で生活させていても丈夫なのですか」「除染は効果があるのか」「福島の食品は安全なのか」

別れ際、伊江村の島袋村長が言いました。「沖縄の基地も、福島の原発も国策で推し進められてきました。それが今、住民の思いとは別に、立ち行かなくなっています。

国が認めた普天間基地に新しく配備されたオスプレイの影響で、3千5百回の飛行訓練が増えました。その下にいる私達の平穏な暮らしを、国は全く保証してくれません。今日、大和田さんに聞いた福島の現状を伊江島の人達にきちんと伝え、私達がこれから福島の子供達の為に何が出来るかを考えて行きたいと思います」と。

福島の苦しみや不安、怒りを発信する事も大切ですが、沖縄の抱える基地問題を他人事としてはいけないと強く思いました。

伊江島の皆さんのご支援に、心から感謝申し上げます。ありがとうございます。

第609話 青春時代

 

 
ラジオ福島開局60周年記念「南こうせつ・伊勢正三スペシャルコンサート2013~ひめ風」が9月29日(日曜)、郡山市の市民文化センターで行われ、2000人の観客が時代を彩った名曲の数々に酔しれました。

神田川、22才の別れ、なごり雪、などが披露されると、感極まってハンカチで涙を拭く観客の姿も見られ、一瞬のうちに青春時代にタイムスリップしてしまったようです。

アンコールのラストは「おもかげ色の空」。

会場とステージが一体となっての大合唱に、市民文化センターが感動に包まれました。

最後は、出演者全員が肩を組んで観客に向かって頭を下げ、南こうせつさんが「福島の皆さん、頑張ろう!東北魂を見せてやろう!」とシュプレヒコールを繰り返し、幕を閉じました。

震災から2年半、私達はたくさんの音楽に励まされ、癒されてきました。

音楽の力を改めて実感したコンサートでした。

第608話 拝啓モニタリングポスト様

 
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自宅近くの公園に鎮座ましますモニタリングポスト様。何時も放射線の正しい情報を住民に提供してくださいまして、まことにありがとうございます。

今日は、1時間あたり、0・159マイクロシーベルトを示していましたが、これからどうなるかについて、あなた様から全く意思表示がないため、住民の間からは何かお供え物でもした方がよいのではないか、などの話も持ち上がっています。

お陰様で、この公園は住宅地より早く除染が終了し、「順番が違うのではないか!」などという住民の反発をよそに、安全で安心な憩いの場とともに、子供達の運動場を整備してくださった事には感謝の言葉もありません。

中間貯蔵施設や仮置き場が決まっていない為、除染した汚染土は公園敷地内に深さ2メートルほどの巨大な穴を掘り、プラスチックケース50個に詰めた土をプラスチックケースごと埋めました。

その上には、砂が敷き詰められた為、走るとかなり負荷がかかる運動場となりました。この為、野球やサッカー、陸上競技等で使われる事が無くなり、ケガをする子供がいなくなりました。

安全第一は嬉しいかぎりです。

グラウンドは、御覧のように、雑草が生き生きと伸びて、命の輝きに溢れています。

モニタリングポスト様にはこれからも、住民の不安に寄り添いながら、たまに散歩に訪れる高齢者の皆様の「なんだこれ?真ん中に赤く数字がでてんだけんども、時計かな?」等という素朴な疑問とお付き合いして頂きたいと思っています。

前から思っていましたが、モニタリングポスト様は夜はお休みになる時間が早いのですね。いつも7時には、電気も消えていますが、できれば24時間体制で放射線を測定して頂けないでしょうか。

ご検討頂ければ、幸いです。

第607話 秋の気配

 
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10月に入り、身近な所にも、秋を感じるようになりました。

色づきはじめた桜の葉、ほおずきのオレンジの袋、そして鶏頭の花。

ほおずき、鷄頭の花が咲いているのは、再生・復活した団地内の花壇です。

震災前は、20年かけて地元のお年寄り達が、丹精込めて作った花壇でしたが、除染の名の下に全て更地になりました。

あれから3ヶ月、お年寄りの有志が立ち上がり、あの頃の10分の1の規模ですが、花壇が完成し地域の人達の心を癒してくれています。

復興花壇のリーダー、76歳の男性は「ショベルカーで花や木を根こそぎ撤去された時は怒りと悲しみでイッパイだった。子供達の為の除染だとは分かっていたが、花壇の中に子供達が入るわけでもないので、なんで、そこまでやるのか理解できなかった。でも、気持 ちを切り替え、子供達の笑顔と自分達の生き甲斐の為に、新しい花壇を作った。仲間も高齢化が進み、どこまで手入れができるかわからないが、最後の一人になってもこの花壇を守っていく。震災に負けたくないから」と決意を語ってくれました。

第606話 市民会館建設

 

 
10月7日(月曜日)に福島県相馬市の市民会館が竣工します。純和風の趣のある建物です。

総工費は、19億円。
納得です。

当日は、ミュージシャンの渡辺貞夫さんがコンサートを開き、柿落としに花を添えます。

因みに、南相馬市の市民会館の総工費は34億円。

白河市に至っては80億円です。

どうして、そんなにかかる、いや、かける必要があるんでしょうか。

理解できません。