第101話 ふくしま・きずな物語

 
「きずな」をテーマにした作文・エッセイの表彰式が今日、二本松市で行われました。

その内の4作品を、私が朗読しました。

どれも感動的な作文で、震災から多くの人達に支えながら生きてきた「感謝」の思いにあふれていました。

3000通にも及ぶ作文・エッセイの応募作品の中で、堂々の最優秀賞に輝いたのは、南相馬市立原町第二小学校2年生の大槻虎聖(おおつきとらきよ)くんの「ふくしまのたからもの」でした。

虎聖くんは震災後、南相馬市から福島市に避難してきました。

そこでの不安と、友達への感謝の気持ちを素直に表現していました。

何回読んでも、涙があふれました。

以下、全文を紹介します。
「最優秀賞」 ふくしまのたからもの 大槻虎聖

★僕は、3月11日の震災で、福島市に避難してきました。そして、福島市の野田小学校に入学しました。

本当は、仲良しのレオくんと、はるくんと一緒に、原町第二小学校に行くはずでした。でも、みんなバラバラになってしまいました。

入学式の日、僕は、とても不安で泣いてしまいました。お父さんとお母さんはいたけど、友達が一人もいなくて、さみしくなりました。

担任の先生が、「大丈夫、大丈夫」と言ってくれました。嬉かったです。

次の日の朝も、僕は不安でした。校門まで、お母さんが送ってくれました。涙が出そうだったけど、お母さんに、「とら、行くしかないよ。この学校に行くしかないんだから」と言われたので、気合いを入れて行きました。

ドキドキしながら、教室に入りました。前の席の友達が話しかけてくれました。

気がついたら、友達がいっぱいできました。毎日、学校に行くのが楽しかったです。

となりのクラスの先生達も、「とらちゃん、とらちゃん」と言って、話しかけてくれました。

みんな優しくて、面白くて、僕は、野田小学校に入って良かったなと思いました。

体育館で友達と、鬼ごっこをしたり、どっちボールをしたことが一番の思いでです。大好きな友達がいたから、家族がバラバラになっても、福島で楽しく元気もりもりでいれたのかなと思います。

原町に帰ることになって、先生がお別れ会をやってくれました。また、僕は泣きました。友達も泣いていました。ありがとうって思いました。さよならするのはさみしいけど、みんなが手紙をくれて、とても嬉しかったです。

僕の大事なたからものです。

(大槻虎聖)

虎聖くんのたからものは友達からの手紙でした。福島県のたからものは、虎聖くんだと思いました。

第100話 福島からの提言

 

11月19日(月曜)の「月曜日Monday ( もんだい)夜はこれから」。

テーマは「福島からの提言」。

★前半の提言は、「仮設住宅」。

「誰もが生活しやすい環境」を目指して、福島県で活動している「NPO法人ユニバーサルデザイン・結(ゆい)」の代表理事・富樫美保さんをお迎えし、「北国における応急仮設住宅を考える!」と題してお送りします。

富樫美保さんが取り組んでいる「震災とユニバーサルデザイン」について具体的な取り組み事例を交えてお話を伺います。

また、実際に仮設住宅で生活している皆さんにもスタジオにお出で頂き、仮設住宅の問題点を指摘してもらいます。

★後半は、「鎌田實~命の授業」

11月13日(火曜)にプレハブ仮設校舎の小高中学校で、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實先生の「命を考える」と題した授業が行われました。

鎌田實先生の授業を受けたのは、小高中学校の1年生30人。

鎌田先生は、震災直後から相双地区の医療支援に入り、住民の心のケアにつとめてきました。

また、WBC(ホールボディーカウンター)をいち早く導入させ、県内の子供達の内部被曝調査を積極的に進めてきました。
★鎌田實先生の著書(絵本)「雪とパイナップル」(中学生1年生の国語の教科書に掲載中)を読んで感動した小高中1年生の要望で今回の「命の授業」が実現した。

「雪とパイナップル」は、チェルノブイリ原発事故で「黒い雨」を浴びて、白血病で亡くなった少年をめぐる物語です。

少年の為に、氷点下20度の凍った町に出て、パイナップルの缶詰を探す若い看護婦さんの話に心が熱くなります。

鎌田實先生はこの本の中で、命の大切さ、感謝の心、幸せとは何かを問いかけています。

★鎌田先生は授業終了後、子供達の質問に丁寧に答えていました。

放射線や食べ物について、素朴な質問がたくさん出ました。

一人の生徒が鎌田先生に聞きました。

「小高には、いつ帰れるんですか?」

鎌田先生は始めて言葉につまりました。

「小高にいつ帰れるんですか?」

この質問にきちんと答えられる大人はいるのでしょうか。
 
月曜日の夜7時から放送する「月曜Monday ( もんだい)夜はこれから)は、ユーストリームを通して、音声と影像を世界中に発信。

県外の方は、パソコンかスマホでお聴きを。
 

月曜Monday 夜はこれから(11月19日)
http://www.ustream.tv/recorded/27139329
 

第99話 アトミック3姉妹

 

★友人の高校教師から聞いた話。

県高校文化祭が11月9日、いわき市で開催された。

テーマは「蘇れ、我らが故郷、咲かせよう文化の華」。

高校生自らの脚本・演出で上演された劇「アトミック三姉妹」が好評だった。

極悪非道な女子高生三姉妹「α、β、γ」が、屈強な男子高校生をボコボコにする。

やられた男子高校生に友人が聞いた「アトミック三姉妹はどのくらい強かった?」。

被害者の男子高校生が答えた「100ミリシーベルトくらい強かった!」。

友人の高校教師が言った「放射線で苦しむ福島の現状を、笑いやユーモアに変えて乗り越えようとしている高校生の姿に逞しさを感じた。そこには今、大人が学ぶべきメッセージが込めらていた」と。

第98話 大和田さん、なっちゃんへ

 

早稲田大学の佐藤彩乃さんからのメールを転送します。

彩乃さんは福島県立橘高校の生徒会長として、学校をまとめてきました。

高校時代にラジオ福島で番組を担当したのが縁で、放送に興味を持ち、大学ではマスコミ論を学んでいます。

南相馬市の原町高校の沼能奈津子さんのメールを読んでの感想です。

大和田さん、なっちゃん

夜分遅くに失礼します。

大和田さん、いつもメールありがとうございます。そしてなっちゃん。
なっちゃんのメールを読んで感動し、涙が出てきました。まっすぐな気持ちが、痛いほど伝わってきます。

私自身、何のためにこの大学に進学したのか、東京で暮らしているのか、考え直すきっかけになりました。

私も、ラジオ福島にたくさんの機会を頂いた者のひとりです。

その機会を、なんとかこれからに活かしたい、と、模索を続けています。

私事ではありますが、現在、英語の勉強にかなり力を入れています。

英語が使えれば、もっと日本のこと、福島の実情をシェアできる人が増えるとの思いがあります。

目指すは、12月TOEICでの900点突破です。

私も、なっちゃんに負けていられません!(笑)

私から発信できることがあれば、お伝えしていきますね。

大和田さん、なっちゃん、体調にはどうかお気をつけて。

今後とも、何卒よろしくお願い致します。

佐藤彩乃

第97話 錦秋の福島路と蒲田寛先生

 

諏訪中央病院名誉院長の鎌田實先生が今日、南相馬市鹿島区にある小高中学校で「命の授業」を行いました。

30人の1年生は、真剣に鎌田實先生の話に耳を傾けていました。

鎌田先生は、授業終了後には、生徒からの質問に丁寧に答えていました。

しかし、「小高には、いつ帰れるんですか」という質問には言葉を失っていました。

小高中の生徒のこの質問に、明確に答えられる人はいるのでしょうか。