浪江町

第149話 浪江町

 
★警戒区域の浪江町。
 

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2012年12月26日(水曜日)。

写真①
浪江町請戸地区。打ち上げられた舟、破壊された自動車が草に埋もれて放置されている。

 
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写真②
浪江町請戸地区。
殉職警察官の慰霊碑。
住民への避難誘導を行っていた警察官3人のうち、最後方にいた1人が、パトカーと一緒に津波に流された。遺体は4月15日に発見された。彼はこの日、非番だったが、地震から15分後には浪江署に来ていた。そして自らの判断で、請戸地区に入り住民への避難誘導を行った。退職後は、故郷の矢祭町に帰って、農業をするのを楽しみにしていた。合掌。

 
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写真③
浪江町役場。
除染作業で出た汚染土が浪江町役場敷地内に集められていた。
中間貯蔵施設も決まっていない双葉郡。放射能を浴びた瓦礫や土を、これからどこへ運ぶというのか。

 
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写真④
誰もいない浪江町中心部。
地震の影響で潰れた家屋。2011年3月11日午後2時46分で、全ての時間が止まっている。

★原発事故の影響で、立ち入りが制限され、帰れない警戒区域。浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、あれから1年9ヵ月経っても何も変わっていない。

朽ちて行く町がそこにあるだけ。「復興元年」の掛け声が虚しい1年だった。

 

第108話 浪江中文化祭

 

12月2日(日曜日)午後5時から、ラジオNIKKEI で「浪江中文化祭」を放送します。

60分番組です。

警戒区域となっている浪江町にある浪江中は、現在二本松市東和針道の廃校になった小学校にあります。

震災前は450人いた生徒は今、49人。

10月28日(日曜日)に文化祭を開催しました。

49人が心一つに、感謝の気持ちを全面に出しての文化祭は、感動的でした。

この番組は、ラジオ福島で11月5日(月曜日)に放送したものの再放送です。

ぜひ、お聴き下さい。

月曜日の夜7時から放送する「月曜Monday ( もんだい)夜はこれから)は、ユーストリームを通して、音声と影像を世界中に発信。

県外の方は、パソコンかスマホでお聴きを。
 

月曜Monday 夜はこれから(11月5日)
http://www.ustream.tv/recorded/26732914
 

第94話 浪江に帰る

 

警戒区域の浪江町出身の歌手、RIEKOさん(23)に話を聞いた。

RIEKO さんは、浪江小、浪江東中、双葉翔陽高校卒業後、栄養士を目指して東京の専門学校に進んだ。

3・11は東京のアパートで経験した。

福島の家族とは1週間連絡が取れなかった。

やっと連絡が付いた兄からは「両親にはまったく連絡がとれない、お前も覚悟しておけ」と言われた。

幸い浪江の家族は無事だった。

先日父と2回目の1時帰宅を果たした。

RIEKO さんの自宅は、津波の被害は無かったものの、背丈を越えたセイダカアワダチ草に覆われ、玄関にたどり着くのにも苦労した。室内は動物の糞で溢れ、異様な臭いにつつまれていた。

悔しさで、涙も出なかった。

帰りに、津波で壊滅的な被害を受けた、請戸地区に足を伸ばした。

港に通じる道路は寸断され、車は大きく揺れながらやっと前に進んだ。

港の建物に漁船が突っ込んでいた。

変わり果てた故郷の景色に言葉も出なかった。

しかし、潮の香りが嬉しかった。

一瞬、アワビやホタテ、美味しいホッキ飯など、故郷の味が思い出された。

かろうじて立っている請戸小学校の校舎に入った。若い女性体育教師の誘導で、児童全員が助かった事を父から聞いてホッとした。

教室の黒板には、「頑張ろう浪江、頑張ろう請戸」のメッセージが書かれていた。

震災後1時帰宅した地元住民の、故郷を思う熱い心に、はじめて涙か溢れた。

そして、心から浪江に帰りたいと思った。

RIEKO さんは12月10日(月曜日)の「月曜Monday (もんだい)夜はこれから」に、同郷の歌手・門馬よし彦さんと出演し、故郷への思いを歌う。

月曜日の夜7時から放送する「月曜Monday ( もんだい)夜はこれから)は、ユーストリームを通して、音声と影像を世界中に発信。

県外の方は、パソコンかスマホでお聴きを。
 

月曜Monday 夜はこれから(12月10日)
http://www.ustream.tv/recorded/27626606
 

第84話 願い

 

北九州市小倉です。

「日専連北九州設立60周年」と「北九州市八幡区保育士研修会」で講演してきました。

福島の現状についてお話ししましたが、皆一様に信じられないという表情でした。

「きょうされん」関係者の方も3人、福岡市からわざわざ来てくださいました。

この方達は、南相馬の支援に入られ、諏訪中央病院名誉医院長の鎌田實先生とも行動を共にされていました。

講演会終了後、立ち話しでしたが、はるばる福岡からの支援活動を伺い、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

近々、郡山にお出でになるとも、話しておられました。

その行動力には、頭が下がる思いです。

福島は今、全国からの支援を受けています。

その事に感謝した北九州市の講演会でした。

「きょうされん」の皆様に聴いて頂きたい曲がありますか。

警戒区域となり立ち入る事が出来ない浪江町請戸出身のシンガーソングライター・門馬よし彦さんの「願い」という曲です。

浪江町請戸は津波の被害が大きく、沢山の住民が亡くなり、今も多くの方が行方不明となっています。

門馬よし彦さんの家も津波で流され、土台(家の基礎)も残っていません。

幸い家族は無事でしたが、知人、友人を沢山亡くしました。

そんな故郷浪江町への思いを歌った「願い」を、是非多くの皆様に聴いて頂きたくお願い申し上げます。

インターネットのYou Tube でいつでもどこでも聴く事が出来ます。

「ラジオ福島願い」で検索して下さい。

門馬さんの「願い」をバックに私が震災直後から撮り続けた、福島の写真もご覧頂けます。

是非、門馬よし彦さんの「願い」を一度お聴き下さい。

You Tube 「願い」
(別ウィンドウで開きます)

第81話 浪江中の文化祭②

 

浪江中学校文化祭「秋桜祭」。

生徒49人が一つになって頑張っています。

実行委員長の山田なつさんと生徒会長の山本幸輝くんの二人は、汗だくになって文化祭の先頭に立って動いていました。

二人とも震災後、転校しましたが、仲間に会いたいと浪江中学校に戻ってきました。

二人は言います「昔の浪江中の文化祭のようにはいかなけど、皆が同じ方向を向いて頑張ってくれているのが嬉しい。

浪江中に戻って来て、本当に良かった。

今日は親や先生、地域の皆さんに感謝しながら、精一杯楽しみます。

そして文化祭が終わったら、自分の目指す高校に入れるように気持ちを切り換えて頑張ります」と、明るく話してくれました。