南相馬市

第497話  菓詩工房わたなべ

 
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昨年4月16日に警戒区域が解除され、ようやく立ち入りが自由になった南相馬市小高区。

小高区の住民に愛されていた洋菓子店「わたなべ菓詩工房」のオーナー渡部幸史さんから来年オープンする店の模型の写真が送られてきた。

ライフラインが復旧していない小高区での再開は 後回しにして、南相馬市原町区に来年春以降にオープンする。

すごい!

まさにお菓子のワンダーランドだ。

福島県の復興・復旧を担う子供達に喜んでもらい、夢を与えられる店がコンセプト。

店内には滑り台も設置される。

仙台からも常連客が来ていた「菓詩工房わたなべ 」の「おだかシュー」が食べられる日が楽しみだ。

第486話  音の出る信号機贈呈式

 
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南相馬市原町区。原町郵便局前交差点。

7月9日(火曜)、県民の皆様からお預かりした募金で、「視覚障害用音の出る信号機を設置し、福島県に寄贈しました。

猛暑の中、県を代表して内堀副知事、南相馬市の桜井市長、県警から青田南相馬警察署長、視覚障がい者福祉協会の阿曽会長ら関係者が出席し、渡り初めを行い、完成を祝いました。

同時に、会津若松市白虎通り短大南前交差点も稼動しました。

これで、ラジオ福島から福島県へ贈呈した音の出る信号機の数は154機となり、県全体の46%がラジオ福島からの寄贈品となりました。

改めて県民の皆様に心から感謝申し上げます。

司会は八木アナウンサーでした。

内堀副知事は「八木ちゃんによろしく!」と私に一言告げて、福島に戻って行きました。

八木ちゃんはその後ちゃっかり、南相馬市の桜井市長とツーショットに収まっていました。

なかなかの、オヤジキラーです。

第481話  小高区塚原地区

 
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南相馬市小高区塚原地区。東京電力福島第一原子力発電所から15キロの距離。

住宅地は津波で跡形もない。この地区では15人が犠牲となった。

津波に耐えた「奇跡の二本松」が海を睨んで立っている。(残念ながら、一本は枯れている)。

もう一本は何とか残せないものか。

高台に上がると「諏訪神社」がある。

地震で鳥居は崩れたが、ここに避難した多くの住民の命を救った。

「何かあったら明神様に逃げろ」

これは、いわき市薄磯地区の住民から聞いた昔からの言い伝え。

明神様はいわき市薄磯地区の高台にある「薄井神社」のこと。

言い伝えを守り神社に避難した30人の命は救われた。

津波は、薄井神社の鳥居の下の階段まで押し寄せてきた。

「諏訪神社は、 小高区塚原地区の避難場所になっていたから、住民はここさ逃げてきて助かった」と語るのは、神社の真下に住む鎌田良晴さん(60)。

鎌田さんは米作と酪農を営んでいた。

昨年4月16日の小高区の警戒区域解除からほぼ毎日、自宅に戻り、農機具の手入れを行っている。

牛16頭は、政府の薬殺処分に抗議、許可をもらってエサを与え、生かし続けてきた。

「牛は家族と同じ、殺せるわけがねえべ」と鎌田さん。

鎌田さんの牛達は今、大学の研究に使われている。

「仕事はもうできねえな。でも、何かしてねえと、生き甲斐まで無くしちまう。原発事故さえなかったら、もっと早く小高は復興してたのにな」と悔しさをにじませていた。

「原発事故さえなかったら」この1 年間で何度この言葉を聞いただろう。

第480話  ありがとうボランティア

 
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南相馬市小高区村上海岸に続く道。

三台のボランティアの車に遭遇した。

No.プレートを見ると、神戸、千葉、富山。県外からの復興ボランティアの皆さんだ。

それぞれが、個人の意思と使命感で集まってくれた。

道の駅南相馬の駐車場に寝泊まりし、南相馬市ボランティアセンターの指示で活動している。

神戸から来た男性は、18年前の阪神淡路大震災を経験した。「あの時神戸は、全国から支援してもらった。今度は俺達が恩を返す時」と話してくれた。

キャンピングカーを改造した災害復旧車輌の前に立ち、お決まりのマスクとサングラス、帽子をかぶり記念写真に応じてくれた。

千葉No.の軽トラックの2人は、1ヶ月間にわたりボランティアに入っている。

富山No.のワンボックスカーの男性は高台を指差し、「あの辺りの家まで流されたのにはビックリした。あらためて津波の被害の大きさに驚いた。一人の力は小さいけど、たくさんの力を結集して福島 を復興させよう」と話してくれた。

ボランティアは自己完結が条件。

交通費も宿泊費も食事代も時腹。

それでも、こうやって、福島の為に汗を流しに来てくれる。

握手をして「ありがとうございます」と言って、頭を下げる事しかできなかったが、その後、久し振りに嬉しい涙を流す事ができた。

全国からのご支援、本当にありがとうございます。

第479話  函館市長視察中

 
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北海道函館市の工藤寿樹市長が南相馬市を訪れ、桜井市長と会談、小高区など津波の被災地を視察した。

小高区役所で記者会見した工藤市長は、「南相馬市も函館市も原発の周辺自治体という共通点を踏まえ、今日は桜井市長にお話を伺った。その中で原発災害の不条理さや先の見えない不安を実感した。津波の被害が大きな小高区の現状と復興の遅れは、そのまま原発事故の大きさを象徴している。

大間原発廃止に向けて、裁判も辞さないという気持ちをあらたにした」と。