いわき市

第154話 初日の出

 
いわき市薄磯。
 

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初日の出に手を合わせて泣いている人もいました。

姫花ちゃんのお父さんに偶然お会いしました。

「早い1年でした。悲しみは癒えません」と、話していました。

ご家族を失った方には、新年も節目もないようです。

 

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第153話 天を恨まず

 
2012年12月26日(水曜日)夕方。
 

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いわき市の南、久乃浜海岸。

久乃浜は、津波と火災で64人が亡くなり、10人が行方不明となっている。ただ一人の市議会議員の高木よしおさんは、逃げる住民と反対方向に走っている姿を目撃されている。近所に住む体の不自由な人を助けに行って、津波の犠牲となった。

海岸沿いは基礎しか残っていない。その中には、花が手向けられている。

震災から1年9ヵ月、家を修理して住み始めた人もいる。新築工事の音も聞こえる。それはまさに復興の槌音だ。

浜の人達は、海を恨んでいない。海と供に生きようとしている。

★今年1年、たいへんお世話になりました。来年は、国や県や東電が、何かをしてくれるのを待つのでは なく、自らが考え、行動して行く1年にしていきたいと思っています。

福島県の未来を担う子供達の為に。

 

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第123話 姫花ちゃん

 
★昨日、岩手県北上市の復元納棺師・笹原留似子さんと一緒に、いわき市沿岸部(薄磯、四倉、久之浜)を訪ねました。
 

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いわき市では、2人の小学生が津波の犠牲になりました。

2人とも、薄磯にある、豊間小学校の女の子です。

そのうちの1人が、鈴木姫花(ひめか)ちゃん10歳。

デザイナーになるのが、夢でした。その夢は、震災によって、断ち切られました。

お父さんの貴(たかし)さん36歳は、毎日姫花ちゃんが流された実家に足を運び、手を合わせ、線香を手向けます。

いつ行っても新しい花が供えられ、昨日は、姫花ちゃん の好きなキャラクターの数も増えていました。

貴さんが言いました。「姫花は、神様が10年間、私達夫婦にお貸ししてくれた宝ものでした。今、貸与期間が完了し、姫花は、神様のもとに帰って行ったんです」と。

お父さんは、姫花ちゃんが最期にいた場所から5分の高台に、家を建てました。
 

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★姫花ちゃんの部屋。

着飾った姫花ちゃんの写真。そして、クリスマスツリー。このクリスマスツリーは、姫花ちゃんの背の高さに合わせて作りました。150センチです。

そして、姫花ちゃんが最期にいた、お父さんの実家。

基礎の前には、お父さんが壊れたブロックを組んで、HIMEKA とかきました。

天国の姫花ちゃんに見えるように。

毎日ここに来て貴さんは姫花ちゃんに言います。

「助けてあげられなくて、ゴメンね」。

すると姫花ちゃんの優しい声が聞こえます。

「パパ、頑張ってね」。

その言葉に励まされながら、貴さんは懸命に生きています。
 

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第122話 笹原留似子さん

 
復元納棺師として、震災後、岩手県沿岸部で津波で傷ついた遺体を300体以上復元した、北上市の笹原留似子さんと一緒に、いわき市、広野町、楢葉町を回った。
 

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いわき市久之浜の「浜風商店街」では、10店舗が肩を寄せあい頑張っている。

「地域の為に!」を合い言葉に。

「シューズショップさいとう」の斎藤キヨ子さん(82)は、津波にのまれたが、九死に一生を得た。

どうやって助かったのかを聞くと「泳いだのよ」と、身振り手振りで話す。

今は毎日店に出て、訪ねてくる常連さんに会うのが生き甲斐とか。

津波から生還したキヨ子さんからパワーをもらおうと、会いに来てくれた人は必ずハグして帰る。

笹原留似子さんもその一人だった。
 

第119話 復元納棺師

 
震災後、津波で傷ついた遺体を復元し、家族の元に返した復元納棺師・笹原留似子さんと3日(月曜日)、いわき市、広野町、楢葉町を回る。
 

夜は、7時からの生放送に出演してもらい、生と死について語ってもらう。

300体のご遺体と向き合った笹原さんは今、医師の協力の下、「お医者さんのお茶っこクラブ」を仮設住宅で開催、遺族の心のケアにあたっている。

ラジオ福島のこの番組は、インターネットのユーストリームを通して、音声と映像を世界中に発信している。
http://www.ustream.tv/recorded/27466940