その他
猛暑の中、連日除染作業が続いている福島市。
作業員の皆さんの健康管理は十分なのだろうか。
いよいよ今週末、自宅庭の除染作業に入る。
この団地の除染は当初の予定では、今年3月中だった。
「作業員の不足から遅れた」と、福島市の担当者から説明があったのは、6月になってからだった。
自宅庭の放射染量は0・18マイクロシーベルト。国が除染の目安としている年間1ミリシーベルトの規準となる、毎時0・23マイクロシーベルトを大幅に下回っている。
除染の必要があるのか悩むところだが、震災時は12マイクロシーベルトあった事を考えると、今さら感が強くなる。
2年4ヶ月経って、やっと始まる除染。誰の為の除染なのか。
除染して剥ぎ取られた汚染土は、白いプラスチックケースに入れられ自宅庭に埋めるか、一ヶ所に集められ青いビニールシートに覆われるだけだ。
自宅での保管期限は決まっていない。
除染 ではなく、移染に過ぎないと住民は言う。
原発事故で出た瓦礫や汚染土の最終処分場、中間貯蔵施設、仮置場、仮々置場も決まっていない為に、自宅庭に置かざるをえない現状に、改めて国や県、基礎自治体の無策に不信感がつのる。
果てしない除染作業は、いったい誰の為のものなのか。
2013年7月17日 |
その他, 福島市
風疹の流行を止める簡単な方法
医療法人社団めぐみ会
理事 杉原 桂
2013年7月16日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行
ここ半年の風疹流行について思うことがある。
専門家は、頭でつくった理想論を唱える。
例えば、ある先生は言う。
抗体検査して、必要ならばワクチンをうつ。
その後もう一度、抗体検査して免疫を確認する。
ついてなければもう一度ワクチンをうつ。
これが学問として正道だ、と。
確かに医学的には正解だ。
そして、このプランは相手が家畜や、捕虜収容所の捕虜なら大成功をおさめるだろう。
けれど、現在、私たちが相手にしているのは自由意志を持っている、はずの善男善女だ。
それぞれの深い事情から止む無くたどり着いた、ワクチン反対派、賛成派、どうでもいい派、など様々な価値観の人間が混在する。
こうした問題に対処するには、ある種のルールがある。アインシュタインの言葉に「問題を生み出したのと同じレベルの意識では、その問題を解決することはできない」というものがある。
風疹が流行しているから、ワクチンを打とう!では同じレベルの意識である。
意義を主張したり、ポスターを作ったりして、エネルギーを注いだ割には、根源的な行動変容は得られていないのが現状である。
自分もワクチンパレードに参加して、手応えの少なさを実感として感じた。のれんに腕押しという感じである。
ところが、歴史を思いおこすと、日本でもある主義や主張を広めようとする、という点において似たようなシチュエーションを経験している。
かつての大学紛争である。革マル派とか、ゲバ棒 とか、そういった時代。
映画「ノルウェイの森」や漫画「メドューサ」でその空気感をかいま見ることができる。
彼らがあれだけ騒いでも、就職になる時期にはピタリと騒ぎが止まり、
きちんとした服に着替えて、一部の例外はあったものの、ほとんどの善男善女は会社に通い始めた。
内田樹さんや村上春樹さんらの著作物はこうした時代のことを良く教えてくれる。
まだ現役で活躍しておられる先生方にも経験がおありな人もいらっしゃるはずである。
あれほど主義、主張を突っぱねていた善男善女をあっという間に行動変容させることに成功した。
本気で結果を望むのであれば、同じようなことを疾病対策でやれば良いのではないだろうか。
つまり、革マル派(=感染源)の ままでは社会側は受け入れることを拒否するのである。
まず隗より始めよ、と郭隗(かくかい)は言った。
すべての医系大学の関わる人にお願いしたい。母校に働きかけて、母校の全学部における入学試験にワクチン摂取歴もしくは抗体価の提出を。
受験するのに必要な願書の中に義務づけるのはどうだろう。反対する理由がどこにあるだろうか?
その次に、私立中学、高校に (OBの先生も沢山いることだろう) 働きかけることができる。
すでに同級生が校長クラスになっている先生もいるだろう。学校医を務める先生もいるだろう。
大学と同様、願書にワクチン摂取歴もしくは抗体価の提出を義務づける。どうせ、米国留学する時には必須なのだ。
そうして本丸である。風疹 に限って言えばこの世代の予防が現在必須である。
一部上場、二部上場している会社にも産業医の方から働きかけをして入社に必要な履歴書に、ワクチン摂取歴もしくは抗体価の提出を半ば義務づけてしまう。
入社だけでなく、海外勤務などの異動の際には確認を必須とする。
病院では当たり前である。小児科医である小生が国立成育医療センターで卒後研修を受ける時にも、ワクチン摂取歴もしくは抗体価の提出が求められた。すぐれたシステムだと思う。これを拡張してゆくだけである。
善男善女が自発的に、弱者のためにワクチンを打とうという時代がくることが望ましいがもっと早く結果をだすためには仕組みが必要である。
これならば、政府は費用負担がない。賛成とか反対と か議論の余地はない。いやならばその学校や会社を選ばなければ良い。
ワクチンはシートベルトと同じだ。違うのは、あなたがしなければ、被害は周りの人に及ぶ連結型シートベルトだということだ。
まず医療界や、出身校から変えていくのが遠回りに見えて、近道なのではないだろうか。
今回の記事は転送歓迎します。その際にはMRICの記事であることを明記して下さい。
MRIC by 医療ガバナンス学会。
2013年7月17日 |
その他
関西大学・深井麗雄教授のゼミ生ら4人が、ラジオ福島のスタジオを訪ねてくれました。
関西大学、同志社大学などは震災後の福島に定期的に入り、被災地や仮設住宅の現状を地元で発進してくれています。
嬉しい限りです。
2013年7月14日 |
その他
甲子園を目指す夏の高校野球福島大会が始まりました。
選手宣誓した南会津高校斎藤主将のメッセージが心にしみました。
「いまこのグランドに立っていられるのは、多くの皆さんのおかげです。中通り、浜通り、会津地方の枠を越えて、私達が一つになって全力でプレーすることが福島の復興につながると信じています」と。
その南会津高校は初戦、古豪・福島商業高校に八回コールド7対0で破れ球場をあとにしましたが、斎藤主将のメッセージは高校野球ファンのみならず、多くの県民の心に残りました。
部員が揃わず、連合チームで挑まざるをえない環境で参加している学校も多いこの大会、選手の口からは「感謝」という言葉が一番多く聞かれました。
2013年7月14日 |
その他
内部被曝通信 福島・浜通りから~帰村しても内部被曝リスクは上がらない――川内村
この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。
南相馬市立総合病院
非常勤内科医
坪倉 正治
ひらた中央病院で行っている川内村民の内部被曝検査の結果( http://www.fukkousien-zaidan.net/research/index.html )が公表されました。
川内村とひらた中央病院は2011年9月に提携して以来、内部被曝検査を無料で全村民に提供しています。
2012年1月31日、遠藤雄幸村長は帰村宣言を発しました。ご存知のように川内村は、避難を強いられた多くの自治体の中でいち早く帰村に向けて動き出した自治体です。帰村宣言以後、ひらた中央病院では川内村のスタッフとともに、被曝量のチェックをすることで、帰村された方々の健康を見守り続けています。
外来では2012年4月以降、問診で帰村しているかを聞きながら、特に帰村している方に、内部被曝を防ぐにはどんな食品に気をつけるべきか、どのような生活上の注意点があるかを重点的にお伝えしてきました。
上記は2012年4月から 2013年3月末までに受診された347名の検査結果です。結果としては、検出限界(300Bq/body)を超える方は3%弱、97%の方が検出限界以下であることが分かりました。多くの方が検出しない状況は、他の福島県で行われている検査結果と大差ありません。
そして、帰村している方と帰村していない方で、Fastscanが検出できるクラスの内部被曝量に差がないことも確認されました。帰村している方、往復している方、未帰村の方の3つのグループの間で、セシウムの検出率に統計的な有意差がないという結果です。ここで帰村している方は、川内村に週4日以上生活されていらっしゃる方、未帰村の方は1日以下の方と定義しています。
セシウムによる内部被曝のほとんどは汚染食品の摂取で起 こります。帰村という行為自体が、それだけで内部被曝を増やさないことは理論的には当然なのですが、今回は、この「検出率に大きな差がない」という結果が、「帰村している方は明らかに地元野菜を摂取している頻度が高いにも関わらず、実現している」ことも分かりました。
帰村後に、汚染食品を多く摂取している状況ではないこと、もう少し踏み込むと、食品検査がしっかりされており、汚染度の高い食品を避けながら生活できていることがうかがえます。
汚染は地元産の食品に満遍なく分布している状況ではありません。明らかに出荷制限のかかるような食品にリスクは集中しており、それを避けることが出来れば、セシウムによる大きな内部被曝は起こりづらい状況です。
もちろん、全 員が検査を受けてくださったわけではありません。いわゆるセレクションバイアスがかかる可能性のあるデータではありますが、少なくとも、「帰村したとしても、(地元産の食品を全く食べないということではなく)明らかな高汚染食品を避けることが出来れば、十分に低いレベルの内部被曝リスクに抑えられた生活をすることが出来る」ことは示されていると思います。理論的には「そりゃそうだ」という話なのですが、それが実際のデータで示されたことは大きいと思います。
川内村には7カ所11台の食品検査器があり、前年度に2655件ほどの検査が行われたそうです。高い汚染が示された食材は、キノコ類や山菜類、獣肉類などで、他の地域の検査結果と変わりません。明らかな汚染のある食品 の種類を基本的な知識として、多くの方が身につけていることが大切なのだと思います。
もちろん、川内村では放射線のことだけが問題な訳ではありません。元々の人口は3000人、完全に帰村されている方が約500人、週に4日以上通っている方を含めると1200人ぐらいで、少しずつ人口は増えているといいます。しかし、八つの行政区のうち一つが帰宅困難地域のままです。除染については、居住空間は一通り終わったそうですが、今後の再除染も含めて議論中だといいます。
遠藤村長は、やれることを一つずつ、愚直に愚直に続けるしかないとおっしゃっていました。川内村のスタッフやひらた中央病院の皆さんの努力に敬意を表したいと思います。
今回の記事は転送歓迎します。そ の際にはMRICの記事である旨ご紹介いただけましたら幸いです。
MRIC by 医療ガバナンス学会
2013年7月12日 |
その他
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