第94話 浪江に帰る

 

警戒区域の浪江町出身の歌手、RIEKOさん(23)に話を聞いた。

RIEKO さんは、浪江小、浪江東中、双葉翔陽高校卒業後、栄養士を目指して東京の専門学校に進んだ。

3・11は東京のアパートで経験した。

福島の家族とは1週間連絡が取れなかった。

やっと連絡が付いた兄からは「両親にはまったく連絡がとれない、お前も覚悟しておけ」と言われた。

幸い浪江の家族は無事だった。

先日父と2回目の1時帰宅を果たした。

RIEKO さんの自宅は、津波の被害は無かったものの、背丈を越えたセイダカアワダチ草に覆われ、玄関にたどり着くのにも苦労した。室内は動物の糞で溢れ、異様な臭いにつつまれていた。

悔しさで、涙も出なかった。

帰りに、津波で壊滅的な被害を受けた、請戸地区に足を伸ばした。

港に通じる道路は寸断され、車は大きく揺れながらやっと前に進んだ。

港の建物に漁船が突っ込んでいた。

変わり果てた故郷の景色に言葉も出なかった。

しかし、潮の香りが嬉しかった。

一瞬、アワビやホタテ、美味しいホッキ飯など、故郷の味が思い出された。

かろうじて立っている請戸小学校の校舎に入った。若い女性体育教師の誘導で、児童全員が助かった事を父から聞いてホッとした。

教室の黒板には、「頑張ろう浪江、頑張ろう請戸」のメッセージが書かれていた。

震災後1時帰宅した地元住民の、故郷を思う熱い心に、はじめて涙か溢れた。

そして、心から浪江に帰りたいと思った。

RIEKO さんは12月10日(月曜日)の「月曜Monday (もんだい)夜はこれから」に、同郷の歌手・門馬よし彦さんと出演し、故郷への思いを歌う。

月曜日の夜7時から放送する「月曜Monday ( もんだい)夜はこれから)は、ユーストリームを通して、音声と影像を世界中に発信。

県外の方は、パソコンかスマホでお聴きを。
 

月曜Monday 夜はこれから(12月10日)
http://www.ustream.tv/recorded/27626606