第607話 秋の気配
色づきはじめた桜の葉、ほおずきのオレンジの袋、そして鶏頭の花。
ほおずき、鷄頭の花が咲いているのは、再生・復活した団地内の花壇です。
震災前は、20年かけて地元のお年寄り達が、丹精込めて作った花壇でしたが、除染の名の下に全て更地になりました。
あれから3ヶ月、お年寄りの有志が立ち上がり、あの頃の10分の1の規模ですが、花壇が完成し地域の人達の心を癒してくれています。
復興花壇のリーダー、76歳の男性は「ショベルカーで花や木を根こそぎ撤去された時は怒りと悲しみでイッパイだった。子供達の為の除染だとは分かっていたが、花壇の中に子供達が入るわけでもないので、なんで、そこまでやるのか理解できなかった。でも、気持 ちを切り替え、子供達の笑顔と自分達の生き甲斐の為に、新しい花壇を作った。仲間も高齢化が進み、どこまで手入れができるかわからないが、最後の一人になってもこの花壇を守っていく。震災に負けたくないから」と決意を語ってくれました。
2013年10月1日 | その他