第544話 檜原湖合宿無事終了
全盲のマラソンランナー・福島市の星純平さんからメールが届きました。
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視覚障がい者ランナーの星純平です。
日頃は、ラジオ福島をお聞きの多くの皆様から応援をいただきまして、誠にありがとうございます。
視覚障がい者となり、閉鎖的な日々を送る中、多くの方々のご支援を頂く事で、マラソンと言う世界を体感しています。
ただの一市民視覚障がい者ランナーと思って走ってきましたが、ラジオ福島の大和田アナウンサーとの出会いによって、何度もラジオ番組に熱意を持って取り上げて頂きました。
その影響によって、多くの方々から応援をしてもらう事になりまして、心から感謝しています。
お陰様で、マラソンを始めてからは、光を失い、気持ちを閉 ざす日常から少し解放されたような喜びを実感する今日この頃です。
自分自身の運命と戦う一つの形として今、マラソンと向き合ってゆきたいと思っています。
今後とも、温かいご声を宜しくお願い致します。
8月24日・8月25日の2日間。佐藤敦之選手(北京オリンピックマラソン代表)に昨年に引き続き、裏磐梯の檜原湖周辺でマラソン合宿トレーニングをして頂きました。
低地の福島市に比べると、高地の裏磐梯の気温湿度は非常に低く、夕方から夜になると寒いぐらいでした。
そのようなトレーニングをするには快適な環境ですから、有名高校・大学陸上部も合宿に訪れて選手の皆さんは目標に向かって汗を流していました。
そのような快適な環境の中で、まずは初日に、1 000m×10本のインターバルトレーニングと、200m×10本のダッシュトレーニングを行いました。
陸上未経験者の僕には38歳にして初めての体験でした。1000mのインターバルでは僕の実力から逆算して4分05秒×10本ペースを敦之選手が設定しました。
ですが、なんと3分55秒ペースで10本を終える事ができました。もちろん僕のペースが落ちそうになると「大丈夫、いける。強気」と言葉で態度で支えてくれた敦之選手からの力が大きかったと強く感じています。
その後の200mのダッシュは、猛烈に苦しかったぁ!
敦之選手が「僕は鬼コーチになります」と恐怖の宣言。
敦之選手の声のトーンも一段下がって鬼コーチのその気迫は、僕の甘えを全く許さないと言った雰囲気 でした。
ダッシュ後半などは、手と足がバラバラになりながらも自身を追い込み走りきる事ができました。
トレーニング終了後の敦之選手は鬼の姿ではなく笑顔で僕の頑張りを「力がついてきている」と、評価してくれました。
自信になる一言でした。
夕食時に僕の肉料理を敦之選手はさりげなくカットしてくれました。親切と優しさは違うと思っています。親切は、温かい行為です。優しさとは厳しさや強さも時として含まれる行為だと思います。
敦之選手にしていただいた様々な行為には優しさが溢れていました。
翌日のトレーニングは檜原湖一周30kmです。昨日の疲れもあって足が中々前に進みません。その苦しさと戦いながらゴールの30kmを目指して走り続けます。その隣 で伴走する敦之選手は坦々と僕に合わせ歩を進めています。何百kmいや何百万kmを走り続けてきたトップランナーとしての厳しさや強さが、敦之選手のその横顔に確かに刻まれていたように僕の心の目には見えたように感じました。
ゴールの30kmまで後わずかです。大和田アナウンサーが出迎えてくれていると敦之選手が教えてくれました。
「純平頑張れ!!」と大和田アナウンサーからの応援が聞こえます。
「あの声がするところがゴールだな」と、僕は最後の力を振り絞ってラストスパートです。
しかし、大和田アナウンサーの声のするところを通り過ぎても、敦之選手からゴールの声が聞こえてきません。
そう大和田アナウンサーが立っていた所は、ゴール前200mぐらいの中途 半端なところだったのです。もう力は出し切ってしまい、ラストの200mは失速と言う落ちがついてしまいました。
でも大和田アナウンサー、応援ありがとうございました。
この2日間の合宿は決して楽なトレーニングではありませんでしたが、敦之選手のご指導と優しさのおかげで、乗り越える事ができました。
そして、この合宿に耐える事ができたのは、福島市で日々、僕のトレーニングにご協力くださっている皆さんにつけていただいた力がなければ、できなかったと思っています。
敦之選手と日々ご支援く
ださいます伴走者の皆さんに深く心より感謝申し上げます。
また、僕の移動の介助や
給水サポートにご支援くださいました敦之選手の奥様の美保さん。
そして、間 もなく3年間ご支援を続けてくださっています斎藤真裕さん三幸さんご夫妻にも、この合宿でもお世話になりました。
皆さんにも心より感謝申し上げます。
さて、次回大会は、9月1日「伊達桃の里マラソン」に出場いたします。見かけましたら、お声を掛けいただけましたら幸いです。
また、引き続き伴走者を求めております。ご協力いただけます方がおられましたら是非、お力を賜りますようにお願い申し上げます。
それでは、引き続きのご支援ご声援を、よろしくお願いいたします。
星 純平
2013年8月27日 | その他