第508話  甲子園に今泉翔太くんが

 

 
「第95回全国高等学校野球選手権記念大会」の始球式のバッテリーと開会式の先導役が決まり29日(月曜日)に発表された。

始球式の投手は岩手・宮古北高校の山本将大君(3年)、捕手役は宮城・石巻商業高校の今野克哉君(3年)、入場行進先導役は福島県立福島東高校の今泉翔太君(3年)に決まった。

始球式を務める山本君は、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県宮古市田老地区の出身。同地区の中学校で被災し、山側へ走って逃げた。自宅は津波で流され、祖父が犠牲になった。現在も仮設住宅で生活し、高校へ通っている。高校への入学者が減った為、今年は宮古北・西和賀の連合チームで岩手大会に出場した。

捕手の今野君は、校舎やグラウンドが津波の被害を受けた石巻商業に入学。4月下旬には練習は再開されたが、練習時間の制約を受けながら野球に打ち込んできた。

一昨年秋の宮城大会は1年生で遊撃手のレギュラーを獲得したが、4位に終わり東北大会出場はならなかった。捕手となった昨年秋の宮城大会は、3位となって東北大会に出場したが、1回戦で敗退し、選抜大会への出場は叶わなかった。

先導役を務める福島東高校の今泉翔太君は、今年4月1日に警戒区域が解除となった福島県浪江町出身。双葉高校に入学が決まっていたが、東京電力福島第一発原子力発電所の爆発事故の為に家族で福島市に避難し、福島東高校に入学した。

厳しい環境の下で大好きな野球を 続け、3番打者の遊撃手としてチームを引っ張ってきた。チームメイトで東高校エースの松下凌君は全村避難の飯舘村からの避難者。「松下君がいたから今の自分があると」と感謝の気持ちも忘れない。

今春の福島大会では準優勝し、創部34年目で春秋を通じて初めて東北大会へ出場し、ベスト4に入った。

この夏の福島大会では第2シードで出場し、ベスト4に進出した。