第452話  水俣と福島の共通点

 

 
「東京電力福島第一原子力発電所の事故は、水俣病に似ている」と語るのは、写真家ユージン・スミスさん(1978年死去)と共に水俣病を世界に知らしめたアイリーン美緒子スミスさん(61)です。

アイリーン美緒子スミスさんは20歳の時、世界的に有名な写真家ユージンスミスさん(52)と出会いました。

結婚後2人で水俣に移住して写真を撮り続けました。
日本語の出来ない夫の通訳も務め、患者と裁判に出かけ、一緒に寝泊まりもしました。
夫のユージンスミスさんの死後は、アメリカスリーマイル島原発事故(1979)の現地取材をきっかけに、一貫して脱原発を訴えてきました。

そのアイリーン美緒子スミスさんが指摘する、「東京電力福島第一原子力発電所事故と 水俣病は似ている」10の手口を紹介します。

①誰も責任をとらない。
②被害者や世論を混乱させ、「賛否両論」に持ち込む。
③被害者同士を対立させる。
④データをとらない。
⑤ひたすら時間稼ぎをする。
⑥被害を過小評価するような調査をする。
⑦被害者を疲弊させ、あきらめさせる。
⑧認定制度を作り、被害者数を絞りこむ。
⑨海外に情報を発信しない。
⑩御用学者を呼び、国際会議を開く。

半世紀たってもなお、水俣病は終わっていない。
「今、水俣病の裁判闘争の先頭に立つのは50代の方々です。まだ幼い頃に水銀に汚染された魚を食べた世代です。だから、福島に行くたびに思う。小さな子供たちに将来、『あなたたちに大人は何をしていたの?』と問われ た時、謝ることしかできない現実を招きたくないんです」とアイリーン美緒子スミスさんは語ってくれました。