第438話  東京電力福島第一原子力発電所

 
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「東日本津波・原発大震災」から今日で2年3ヶ月。

事故を起こした、「東京電力福島第一原子力発電所」に取材に入った。
(写真撮影は不可)

放射線量が高く、1時間30分の滞在だったが、津波や水素爆発の影響で破壊された建屋を目の当たりにして、当時の危機的状況が容易に想像できた。

防護服を着たのは、震災の年の4月20日以来。

クールベストの中に保冷剤を3個入れ、顔面を被う全面マスクを装着し、東電が用意したバスに乗り込んだ。

水素爆発を起こした1号機の建屋が近づいてきた。「只今の線量は1000マイクロシーベルト・パーアワー」。
バスの中で東電の広報が告げた。

バスを降りて1号機の建屋の前に立った。数名の作業員が黙々と作業をしてい た。

津波で流されたトラックや乗用車が建屋にぶつかり、原型を留めない形で放置されていた。

「撤去する時間がおしいので、そのままにしてあります」東電広報から説明があった。

事故当時、東京電力福島第一原子力発電所の1号機~4号機は、地震と津波で全ての電源を喪失し、冷却機能を失った。その為、1号機~3号機は炉心燃料が溶融(メルトダウン)したと推定される。

4号機は定期検査中で、全ての燃料が炉心から使用済み燃料プールに移されていたため、メルトダウンは起きていないとされている。

また、1号機、3号機、4号機は、水素爆発により原子炉建屋上部が吹き飛んだ。

1号機~4号機の建屋を見下ろす高台に上がった。

堤防から60メートルの 近距離に、原子炉建屋が一列に並んでいる。

これでは津波が来たらひとたまりもない。隣の原子炉との距離も余りにも近すぎる。

建屋がある海岸と反対方向に目を向けた。そこには数えきれらい程の貯水タンクの基地があった。タンク基地の後方には整地され、次の貯水槽の製造・設置を待っている広大な土地が広がっていた。

廃炉に向けての1番の課題は汚染水の処理。

一日400トンの地下水が建屋に入り、汚染水が増加する原因となっている。

将来は建屋の回りの土を凍らせ、地下水を遮断する計画だが、実現にはまだ時間がかかりそうだ。

バスは「ふれあい交差点」を右折して、免震重要棟に着いた。

免震重要棟の壁一面には日本中から、激励と感謝そして応援メッ セージが貼られていた。(撮影不可)。

添付した写真は、J ヴィレッジにあった原発作業員への応援メッセージ。

取材を通して改めて再確認した「原発事故は依然収束していない」。