第434話  除染の前に

 
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福島市の我が団地の除染が、当初の予定より3ヶ月遅れでスタートする。

遅れた理由については、市からまったく説明はない。

6月6日に、業者を含めて三者面談を行い、「除染作業は6月13日から始めます」と、通告を受けた。

また、この日から3日以内に敷地内のモニタリング(放射線量の測定)を行いますと告げて業者は帰って行った。

そして次の日、「モニタリング作業完了のお知らせ」なる紙が一枚投げ込まれていた。

その紙には、「本日、屋根・雨どい・駐車場・雨どい下等の詳細モニタリングが完了いたしました」と記載されている。

詳細モニタリングの結果をなぜ、住民に知らせないのか疑問に思い、直ぐに業者に電話をした。

すると業者は、「モニタリングの数値の結果は、福島市の方に連絡することになっています」と答えた。

数値を一番知りたいのは、ここに住んでいる住民 ではないのか。

除染は誰の為にするのか。市の為なのか、業者の為なのか。

「どこの場所が、どの位高いのか。そこに住んでいる住民が、知りたいと思うのは当たり前。直ぐに数値を教えなさい」と迫ると、業者は「明日、係りの者を行かせますから」と答えて、電話を切った。

除染して出た土や草木は、自宅の敷地内に埋めるか、一ヶ所に集めブルーシートで被う事になっている。

仮置き場が決まるまでの暫定処置だが、仮置き場の先の中間貯蔵施設も、その先の最終処分場も決まっていない現状を考えると、除染はただの移染でしかない事がよくわかる。

果てしない除染にかかる莫大な予算を、福島県の子供たちの教育や医療に使った方が、福島の復興・復旧が加速するように思えて ならない。