第404話  内部被曝通信 福島・浜通りから~タブレット入力で何が変わるか

 

 
内部被曝通信 福島・浜通りから~タブレット入力で何が変わるか

この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。
http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html

南相馬市立総合病院
非常勤内科医 坪倉 正治

2013年5月21日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp/
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ひらた中央病院で、内部被曝検査の一部電子化が始まりました。

内部被曝検査結果を、ホールボディーカウンター(WBC)自体から自動的に吸い出して格納し、個人ごとにストックしてくれるようなシステムと、問診票の入力にiPadに代表されるようなタブレットが使用されるようになりました。今まで逐一手作業で入力していた部分が効率化されることになります。データのバックアップを十全にする狙いもあります。

現行の電子カルテのレベルには到達していませんが、予約システムやレセプト、他の検査結果との連動なども視野に入れて作られています。

今まで、データ入力や予約は、多くのマンパワーが必要で した。純粋に検査結果の数値やアンケート結果を入力する作業は、ヒューマン・エラーも起こりやすく、見直しやデータのクリーニングを行ってはいるものの問題点が多かったのです。

ひらた中央病院の検査では、問診票が併用されています。この問診票は「内部被曝を減らすために、日常生活で何に気をつけるべきか」という、生活に密着した問いへの答えを出すために作られました。内部被曝検査を受けにきた人が、どの程度食品に気をつけているのかを問うことにより、様々な食品の購入行動がどの程度の内部被曝リスクを伴うのか、それを明らかにすることを目的としていました。

この作業は一病院にとっては、かなりの負担でした。南相馬市立総合病院では、震災1年頃は全国から来てくれた、 多くのボランティア大学生の助けによって何とか進めてきました。

タブレット化されて、問診に答えると自動的にカルテに反映されるようになりました。タブレットでの入力はまだまだ改良の余地も多いのですが、小学3年生以上ぐらいならサクサクと入力してくれます。ご高齢の方など、パソコンに余り慣れていらっしゃらない方には余計に時間がかかったり、今まで手作業だったからこそうまく行っていた部分でトラブルを生じたりしていますが、少しずつ先に進んでいます。

ご存知のように内部被曝検査は医療行為ではありません。別に医師の監督は必要ないですし、診断も不要です。ですが、個人の計測結果である以上、理想的には、個人の健康管理に役立ち、他の健診や健康情報としっかりリン クするのが良いと思っています。

採血には多くの項目がありますが、WBCの検査結果やガラスバッジの結果も、その中の一つとして含まれるような形にならないだろうかと感じています。個人で今まで受けた検査の結果を全て自分で持ち、自分で管理し、自分で判断する ――こうできるのであれば、特にリンクは必要ないかもしれませんが、決してそうでは無い方も多いように思います。

ひらた中央病院の取り組みは、そのような状況から前に進むための第一歩だろうと思います。

MRIC by 医療ガバナンス学会