第4話 幸福感
県立医科大学被ばく医療班の長谷川有史先生に話を聞いた。
長谷川先生は、放射線にだけゼロリスクを求める無意味さを坦々と説く。
生きること全てにリスクが存在するのに、原発事故を受けた我々は放射線のリスクだけは許容出来ないと、もがき苦しむ。
その結果、「人間らしく生きること、幸福感をなくしてしまった」と指摘する。
また、「科学はリスクがゼロではないということしか、教えてくれない」と話す。
安全は数字の裏付けが必要だが、安心は自らが闘って得るものだと力説する。
ドクターヘリに乗り、外科医として多くの命と向き合ってきた長谷川先生だからこそ、今医療の原点は心のケアだと断言する。
この福島で、幸せに生きること事の意味を、長谷川先生は私達に問いかける。
その長谷川先生が尊敬するのが、南相馬市鹿島区の仮設住宅の一角に誕生した「絆診療所」の遠藤清次院長。
長谷川先生と遠藤先生は、かつて郡山の同じ病院で外科医として勤務していた。
また遠藤先生は、元小高病院の院長として、地域医療の現場で頑張ってきた。
医師が三人となり、存続の危機にあった小高病院 を支えてくれた住民の為に、自費で「絆診療所」をオープンさせた。
コンセプトは、「仮設住宅から孤独死を出さない」
福島県から多くの医療従事者が離れていく中で、
長谷川先生や遠藤先生のように腹を据えて地域医療を守ろうと活動するDoctor にもっと県などは支援をしてほしい。
2012年9月23日 | 南相馬市