第343話 原発難民
原発事故で故郷・富岡町を奪われた佐藤紫華子(しげこ)さん85歳にインタビューした。
紫華子さんは90歳のご主人と一緒に、避難先を転々とし、今はいわき市四倉町に落ちついている。
原発事故直後から紫華子さんは、その思いを詩に託し、震災の年に「原発難民」と「原発難民のそれから」という2冊の詩集を自費出版した。
その内容は多くの被災者の共感を呼び、マスコミの震災報道よりも本当の被災地の姿を伝えていると評価も高い。
この詩集に感動した女優の吉永小百合さんが、自らのステージで詩を朗読している。
また、この詩集の中から、佐藤紫華 子さん自身が詩を朗読したCD 「ふるさと」が発売され、話題となっている。
なお、このCD の収益は全て富岡町に寄付される。
佐藤紫華子さんの作品「ふるさと」を紹介する。
★ 『ふるさと』
呼んでも
叫んでも
届かない
泣いても
もがいても
戻れない
ふるさとは
遠く 遠のいて
余りにも遠い
近いけど 遠いふるさと
あのふるさとは
美しい海辺
心の底の
涙の湖に ある
2013年4月24日 | 富岡町