第340話  国際盲人マラソン大会カスミガウラ 結果報告

 

 
全盲のマラソンランナー星純平さんからのメールです。

視覚障がい者ランナーの星純平です。

日頃は、ラジオ福島をお聞きの多くの皆様から応援をいただきまして、誠にありがとうございます。

視覚障害者となり、閉鎖的な日々を送る中、多くの方々のご支援を頂く事で、マラソンと言う世界を体感しています。

ただの一市民視覚障害者ランナーと思って走ってきましたが、ラジオ福島の大和田さんとの出会いで、ラジオ番組にて熱意を持って取り上げて頂きました。

その影響によって、多くの方々から応援をしてもらう事になりまして、心から感謝 しています。

 お陰様で、マラソンを始めてからは、光を失い、気持ちを閉ざす日常から少し解放されたような喜びを実感する今日この頃です。

自分自身の運命と戦う一つの形として今、マラソンと向き合ってゆきたいと思っています。

今後とも、温かいご声を宜しくお願い致します。

 4月21日に茨城県土浦市で開催されました「国際盲人マラソン大会・かすみがうら」に出場してきました。

種目はフルマラソン(42.195km)です。

伴走をしてくださったのは東京都の、木田哲治(39)さんです。

木田さんは、市民ランナーで、フルマラソン:2時間28分と言う驚異的な実績を持った、尊敬するランナーです。

本大会ではトップクラスの選手は2人の伴走者でレースに 臨んでいるようでしたが、木田さんはスタートからゴールまで一人で走っててくれました。

伴走者は隣を走るだけではありません。出場選手が2万人クラスの大会では、視覚障害者と並んで走らなければならない場合、走路の確保・選択する事も大変です。

路面の状態を伝えながら吸水のコップも取り、僕に与える事をゴールまで繰り返していく、伴走者とはとても過酷な役割なのです。

開催地の土浦市は気温5℃。

冷たい雨が降りしきる、厳しい天候でした。それでもサブ3を達成しようとレースに臨みました。

初めての雨の中でのレース。カッパを着てのスタートとなるようでした。

木田さんが「この雨と寒さではゴールまでカッパを脱ぐことはないでしょう」と言いました。

それを聞いて、「体感はは蒸し暑いのだろうか?」と不安な気持ちでスタートしました。

 走路は無数の水溜りで何度も足が冷やされました。

また、他のランナーが弾く水しぶきが絶え間なく足を濡らし続けます。

木田さんの丁寧な伴走により30kmまでサブ3ペースを維持。

しかし、市民ランナーの言う「30kmの悪魔」が僕にも待っていたようでした。

みるみるペースが落ち、冷たい雨と風が熱と体力を更に奪っていきます。

冷えるとこれほど足が動かなくなると言う事を
体感しました。

「体力が枯渇してからがマラソン、諦めてはダメだ」と木田さん。もうサブ3は無理と分かっても必死で悔しさを抱いて走りました。

記録:3時間5分39秒
 
視 力を失って、心を閉ざし部屋に閉じこもる毎日では、この心底からの悔しさは感じる事はできなかったと思います。

佐藤敦之選手の言葉「挑戦し続ける人間に失敗
はない」は、また僕の心の中で更に意味深いものとなりました。

 走り始めてからたくさんのご支援をいただいてきました。これ以上望んでは無礼だと思ってきました。

しかし、サブ3達成には、より速い伴走者とのトレーニングが必要だと実感した大会でもありました。

そこで福島市在住の方で、伴走をお引き受けいただけます方がおられましたらぜひにお力を賜りたく、心からお願い申し上げます。

本大会も、伴走をして下さいました木田哲治さんをはじめ、多くの方々のご支援により、走らせていただきました事、心 より感謝申し上げます。

引き続きのご支援ご声援を、よろしくお願いいたします。

星 純平