第309話 浪江町③

 
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警戒区域となっていた浪江町がこの日、区域の再編が行われた。

日中に限って立ち入りが認められる地域の人口は浪江町全体の8割りも及ぶ。

しかし、除染も進まず、仮置き場も決まっていない。

また、上下水道の復旧もめどが立っていない。

立ち入りには、通行証が必要となる。国道6号と114号との交差点にはバリケードが置かれ、厳しく車輌をチェックしている。

浪江町役場は、この日から職員4人常駐させ、町民の対応に当たっている。

役場前には仮設トイレが設置され、飲み物の自動販売機の入れ替え作業が行われていた。

役場内は薄暗く、酒瓶が倒れたままだった。

役場前で話を聞いた、芹川輝夫さん65歳は、避難先の二本松駅前で食堂を再開させた。

芹川さんは「久しぶりに自宅に帰ったが、荒れ放題で手のつけようがない。片付けだけで、残りの人生が終わってしまう。原発事故さえ、なかったら」と悔しさを滲ませていた。