第265話 小高レポート②

 

 
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「菓詩工房わたなべ」を後に、警戒区域解除直後後から、まだ誰もいない小高区で、理容店を再会した「加藤理容店」に向かった。

毎日ポリタンクに100リットルの水を入れて、店まで運ぶ生活が今も続いている。

しかし、ご夫婦はそこ抜けに明るい。「仮設住宅にいると滅入るだけ。仕事が出来るだけで幸せ」と店主の加藤直さんは語る。

「お客さんさんは少しづつ増えてきました。でも、お茶飲みに来てくれるだけでいいんです」と奥さんが微笑む。

「地域コミュニティーのベースキャンプでサロンだなあ」とカンニング竹山さんが頷く。
この日たまたま店に来た主婦は、線量の高い山間で農業を営んでいた。

「我が家は6マイクロシーベルトもある。早く除染しなくちゃ帰れない。加藤さんの所は線量が低いから除染よりも上下水道の復旧整備が先。国も市も、地域によって最優先課題が違うのが全く分かってない」と力説して出されたコーヒーを一気に飲んだ。

加藤理容店の前で記念写真を撮った後、南相馬市合同庁舎で、スクーリニング検査を受けた。

全員、全く問題の無い数値だった。

スクーリニングの時、両手を横に広げる。

いつも思う。

十字架のようだ。