第232話 玄葉レポート②
南相馬市萱浜(かいはま)の神社に立つ慰霊碑。
ここでは、隣のしどけ地区と合わせ137人が亡くなり、今も10人が行方不明となっている。
上野敬幸(たかゆき)さん39歳を訪ねた。
津波から奇跡的に残った自宅玄関前には、両親と最愛の娘息子の遺影と焼香台が置かれている。
線香を手向け手を合わせ 上野さんに招かれ部屋に入った。
コーヒーを沸かしながら上野さんは言った「原発事故のせいで、家族を探せなかった住民の気持ちが、あなたにわかりますか。原発事故が無かったら、助かった命もあったかもしれない 、家族を抱き締める事もできたかもしれない」
玄葉さんは、目を赤くしてじっと聞いていた。
そして、「言葉になりません。上野さんの思いを受け止めるだけです」と語った。
間もなく震災から2年。家族を失った遺族の苦しみは続く。
2013年2月26日 | 南相馬市