第123話 姫花ちゃん

 
★昨日、岩手県北上市の復元納棺師・笹原留似子さんと一緒に、いわき市沿岸部(薄磯、四倉、久之浜)を訪ねました。
 

123-1
 

いわき市では、2人の小学生が津波の犠牲になりました。

2人とも、薄磯にある、豊間小学校の女の子です。

そのうちの1人が、鈴木姫花(ひめか)ちゃん10歳。

デザイナーになるのが、夢でした。その夢は、震災によって、断ち切られました。

お父さんの貴(たかし)さん36歳は、毎日姫花ちゃんが流された実家に足を運び、手を合わせ、線香を手向けます。

いつ行っても新しい花が供えられ、昨日は、姫花ちゃん の好きなキャラクターの数も増えていました。

貴さんが言いました。「姫花は、神様が10年間、私達夫婦にお貸ししてくれた宝ものでした。今、貸与期間が完了し、姫花は、神様のもとに帰って行ったんです」と。

お父さんは、姫花ちゃんが最期にいた場所から5分の高台に、家を建てました。
 

123-2
 

★姫花ちゃんの部屋。

着飾った姫花ちゃんの写真。そして、クリスマスツリー。このクリスマスツリーは、姫花ちゃんの背の高さに合わせて作りました。150センチです。

そして、姫花ちゃんが最期にいた、お父さんの実家。

基礎の前には、お父さんが壊れたブロックを組んで、HIMEKA とかきました。

天国の姫花ちゃんに見えるように。

毎日ここに来て貴さんは姫花ちゃんに言います。

「助けてあげられなくて、ゴメンね」。

すると姫花ちゃんの優しい声が聞こえます。

「パパ、頑張ってね」。

その言葉に励まされながら、貴さんは懸命に生きています。
 

123-3